最後に、仕上げをやる工場にお邪魔しました。生地作りの最後の工程です。まず糸を染めて、それを機屋さんが織り上げて生地にして、織り上がったものがここにくるというわけです。
一見、生地として完成しているように思われますが、まだ細かい毛羽が多かったり、色がしっかり定着していなかったり、生地として安定していない状態です。こういうものに、最終的に製品に必要な加工を施します。例えばマーセライズ加工というツヤ出し、レジン加工という樹脂加工、サンフォライズ加工という防縮加工などです。
ここではまず、入ってきた織り物に傷がないかどうか、人間の目ですごいスピードで見ていきます。
このチェックを経て、工場のラインに入っていきます。この機械も全長が100メートルくらいある巨大なもの。
まず水洗いをして生地を安定させてピンと張り、毛焼き、マーセライズ、レジン、サンフォライズという処理を行っていきます。特殊な風合いを出すための機械を通す場合もありますね。そして最後にチェックをする方がいて、肉眼で生地の仕上がりを検査しています。
チェックが終わった生地は反物としてぐるぐる巻かれて、ラインを流れていきます。そしてそれぞれ出荷場所に手で運ばれていきます。
私たちの洋服作りにおいて非常に大切な「生地」がどのようにしてできあがるのか、どのような技術を介しているのか、よく知ることができた有意義な視察でした。次回更新が最終回です。
Photo: Shunsuke Ishikawa
Text: Tsuzumi Aoyama