2014.03.25
輸入車試乗会
少し前の話ですみません。先日、JAIA(日本自動車輸入組合)の主催する輸入車試乗会に参加してきました。
UOMOさんのお誘いで昨年に引き続き2回目の参加です。去年はコンパクトカー縛りで、それはそれで楽しかったのですが、今年のテーマは「乗らず嫌い」。特にカテゴリーの縛りは無く、コンパクトカーからスーパーカーまでいろんな車に試乗できるというたまらない企画でした。当日はあいにくの天気で、箱根ターンパイクでの試乗は中止になってしまい、会場の大磯プリンスホテルの横を走る西湘バイパスのみでの走行となりました。
この日乗った車は全部で18台。これを八木通商プレスの鈴さんと二人で交代で試乗。一台あたりの運転時間は短かったのですが、満喫してきました。
そんな中で印象に残った車を何台か。 まずはこれ。マクラーレンの12C Spider。625馬力のスーパーカー。ドアがガルウィングです。生まれて初めて運転する600馬力オーバーの車で、それもこの着座位置なので走り出す前は少し不安感がありました。しかし、運転してビックリなのはとんでもなく乗りやすいこと。底をする心配を別にすれば、近所のコンビニに買い物に行くのも問題なくこなせる乗りやすさです。見切りも良くて乗っていて心配が殆どありません。加速感は勿論速いのですが、ドッカーンと言う速さではなく、スムーズに加速していってとんでもなく速いと行った感じ。もっとターボ感をイメージしていたのですがNAのような感じでした。初めて運転した3000万円オーバーの車、短い時間でしたが感動しました。
速い車といえばこれ。AUDI RS6 AVANT。世界最速ワゴンと呼ばれる、究極のグランツアラーです。こちらは最高出力560馬力。でもトルクはマクラーレンの600Nmを大きく上回る700Nm。ただ重量は500kgくらい重い1880kgとのことです。
駐車場から走り出した瞬間に「あ、重い車だな」という感想で、好きなタイプの車では無いなと思っていました。どれだけハイパワーなエンジンを積んでも重い車は楽しくないという思い込みがあったので、この段階で期待感はぐっとダウンしていました。しかし、西湘バイパスに乗ってアクセルを床まで踏み込んでみると、700Nmのトルク爆発です。とにかく速い。その速さはマクラーレンとは全く別質で、ドッカーンと速い。重い塊が吹っ飛んでいきます。ほんの少しアクセルを踏み込んだだけで簡単に法定速度は超えてしまいます。しかも高速での安定感の高さも別次元でした。この車はおそらく200km/h以上の連続走行でもなんの不安感もないと思います。もう一つビックリしたのがブレーキ。おそらくオプションのカーボンブレーキをフロントに装備していた試乗車は、一気に減速して行きます。ワゴンで荷物も詰めて新幹線並のスピードで走れ、男っぽい豪華な内装と併せて究極のグランドツアラーだと思います。これはこれですごい車でいいいなー。とかなり好感をもてました。残念なのは日本では完全に性能をもてあましてしまうと言うことでしょうか。あと値段がとんでもないようです。
そしてもう一台の速い車。LOTUS EXIGE S。大好きな車です。創業者コーリンチャップマンの「軽さは性能」という言葉からするとちょっとオーバーウェイトの感もありますが、車重はぎりぎり1200kg以下で、今の車としては軽い方。そこにトヨタ製のスーパーチャージャー付き350馬力エンジンを載せています。とても女性を乗せることは考えていないような極太のサイドシルをまたいで低いシートに座ると、フロアのすぐ下に地面があることを感じられる低い着座位置。足先には3つのペダルがあり、これこそ本物のスポーツカー。本当に楽しいくるまでした。操作の全てを自分で行っていると感じられる車が少なくなっている中で、アシスト無しのステアリングも含めて操作感が全身に伝わり最高です。足回りも以外とがちがちではなく乗り心地も悪くありません。試乗を終えて車から降りたときには、ライターさんに「顔に楽しかったというのが表れてますよ!」と声をかけられました。正直楽しくてしょうがなかったです。普通のトヨタ車とは異なるエグゾーストノートがスーパーチャージャーの金属音とともに聞こえてくる狭い室内も男の居場所らしく大好きでした。
エグゾーストノートといえばナンバーワンはJAGUAR F TYPE。発表以来ずーっと気になっていた車です。YOUTUBEで走行動画や海外のレビューをさんざん見ていて、特にV8のエンジン音にやられていました。試乗車はV6だったので、ちょっとがっかりしていたのですが、これもかなりいい音してました。右車線のセンターギリギリを走って、中央分離帯のせり上がっているコンクリート壁に音を反響させて楽しんでしまいました。とにかくアクセルオフ時のバリバリ音がたまりません。最近はエンジン音の演出をする車が多くなっていますが、そのほとんどが過剰演出で不自然に感じてしまい好感が持てませんが、この車は違いました。
走りの方も、もっと大きさを感じるかと思っていたのですが、乗ってみるとそうでもなく、十分に振り回して遊べる範囲の車だと感じました。見た目もクラシックとモダンの両方を併せ持った非常にいいデザインだと思います。かっこいい。欲しい。
欲しいと言えばこの車、Range Rover Sports。SPORTSとしては2代目ですが、ランドローバーを手直しして高級版にしたという先代のスポーツでは無く、今回は専用設計をされた本物のレンジローバー。少し大きすぎるRange Roverとデザイン重視になりすぎた感のあるEvoqueの中間でちょうどいい感のあるレンジローバーです。近年のレンジローバーは移動手段としての究極をいっていますね。量産車最高の悪路走行性能に、グランドツアラーとしての高速走行性能、そしてサルーンとしての快適性。このスポーツもそんな車でした。乗ったのは排気量の小さいV6 3.0リッターのモデルでしたが十分な加速感。大きさの割に取り回しで苦労することもなく、運転していて快適そのもの。いろいろオプションのついた試乗車のフロントシートのヘッドレストにはモニターもついていて、後部座席に乗った二人がそれぞれ専用画面で映画などを楽しめるようになっています(おそらくバラバラの映像を流せる)。サロンに座ったまま地の果てに行ける。ドライバーはひやひやでしょうが夢が広がります。これ本当に欲しいです。
でも一番安くて800万円。やはり手が出る値段ではないなと冷静に考えてしまいます。「車は現金一括で」というポリシーがあるので、相当がんばって車預金しないといけません。で、こつこつ貯金をしていると以外に早く貯金と中古価格がマッチしてくれるかもしれません。一般的に英国車は中古価格の下落率が高いので(今は違うかもしれませんが…)。
ここに書いた車以外にも多くの車に乗りましたが、特に印象に残っている車は上の車達でした。で、乗り終わってふと気づいたことがありました。それは「ほとんどが英国車」ということ。上記以外にも普通のセダンで一番楽しかったのはジャガーのXFで、すごいジェントルそうな車なのに乗ってみるとスポーツカー。ドイツのセダンに比べて軽快感が上でした。
英国車といえば今でもオールドMINIをツインカムに改造した車を所有していますが、別に英国車党ということではまるっきりありません。国産も含めて相当フラットに見ていて、好きな車は好きという国籍不問派ですが、俄然英国車が気になってきました。
試乗終了後にそのことをライターさんにお伝えしたところ「今英国車はインドや中国からお金をもらって好きなことをやっている」と答えてくれました。なるほどそういうことか。元々車好きのイギリス人。経済の厳しさや、産業の衰退でいい車を作りたくても作れない環境下にいたのが、アジアの自動車メーカーに売却することによって逆に元気になってきたんですね。お金は出すけど口は出さないという最高のパトロンを得て、英国車が個性的で楽しい車を作っているということのようです。
と非常に楽しい一日を過ごさせてもらった試乗会。昨日発売のUOMO5月号に詳しく掲載されています。是非ご一読下さい。
Text & Photo : Shunsuke Ishikawa