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PARKING
衣・食・住・遊のすべてにこだわりを持つ男性のための新しい生き方を模索する、Lifestyle Magazine型のショップ。
洋服のほか男性の生活全般に渡って必要な道具や消耗品をそろえ、「自然と街を結ぶトランスポーター」である自動車も重要なエッセンスとして機能。
PARKING MAGAZINE
今とこれからの男性の生き方を模索するウェブマガジン。働くこと、遊ぶこと、生活することを三位一体とし、「グローバル|ローカル」, 「都市|自然」, 「消費|創造」といった様々な隔たりを軽やかに飛び越えていく、自由で活動的でDIY精神豊かな男性像を模索していくウェブマガジンです。
PARKING COFFEE×CACAO WORKS
数社のロースターと契約し、セレクトしたスペシャリティーコーヒーを提供。
産地から直送されるカカオ豆を自家焙煎し、カカオと砂糖のみを用いた特別製法のチョコレートを販売。
コーヒーとチョコレートで朝の目覚まし、軽いランチ、午後の気分転換、夕方の一休みなどの時間と空間を提供します。

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  • PARKING
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    TEL: 03-6412-8637

    Existence Co., Ltd.

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2015.02.09
Tsuyoshi Nimura Talks About
MARKAWARE 2015SS Collection Nº1スタイリスト二村毅による、MARKAWARE2015SSコレクション全ルック解説(1)

2015年春夏のMARKAWAREは「FATIGUE」をテーマに原点回帰となるコレクション。ブランドの柱であるミリタリーの再構築という哲学に立ち返り、かつ日本の優れた技術による、丁寧なものづくりをあらためて見直したラインアップとなりました。目を引くのはドロップショルダーやビックシルエットといった、リラックス感を漂わせるアイテムたち。そこにブランドとしては久しぶりにリリースすることになるスニーカーがお目見えします。

ブランドからの着こなしを提案するルックブックは、スタイリスト二村毅さんとフォトグラファー岡田潤さん、ヘアメイク阿部孝介さんというスタッフにより撮影。デザイナー石川俊介が作る洋服を、リアルなスタイリングとしてお見せします。そのスタイリングがどのような意図によるものか、スタイリスト二村毅さんに全ルックを解説していただきます。

 

― まず、今回のMARKAWARE2015春夏コレクションのルックブックを撮影するにあたって、どのようなことを考えたのでしょうか?

 

二村:ミリタリー的なアイテムが多いと聞いていたので、それをどう撮ろうかなとは考えましたね。ミリタリーから直結して、ユニフォームっぽい人間像を作るとか、軍モノとして見せるのでは当たり前すぎるなと。ポスト・ライフスタイルというか、機能の高いミリタリーをさりげなくリアルクローズとしておしゃれに、すごく気持ちいい感覚で着ていること。ミリタリーの力強さを全面に出すのではなく日常の装いとして洋服を柔らかく着ているという感覚のほうがこれから良いんじゃないかと考えました。また、石川さんが作る服もドロップショルダーのアイテムをはじめ随所に柔らかいニュアンスが入っていたので、写真としても柔らかい要素を入れたいと。今回、背景を入れましたがイメージとしては解放感のあるアトリエにさりげなく枝が飾られているといったもの。この枝を誇張させて迷彩っぽくしたらどうだろう、というのが今回意識した絵作りですね。洋服全体を見て感じたこととしては、今回のコレクションは大好きでした。僕自身ユニフォームやミリタリーは大好きなので、それを堪能できたなと思います。 

石川:最初の打ち合わせでは「シンプル」でいきましょうとお話させていただいて、その通りのイメージでしたね。

二村:無理なく、これを今どう着たらカッコいいかなと考えたのが今回のやり方だったと思います。

 

― では、さっそくですが1体目から解説をお願いします。

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二村:ベトナム戦争時代に作られたミリタリーのアイテム、ジャングルファティーグですね。直営店のPARKINGに折りたたみの椅子が置いてありますが、これはコーア・クリントがイギリス軍用の折りたたみ椅子から発想したものです。あの椅子をデザインしている人の発想は「良いものがある。それを現代の生活に溶け込ませたらどうなるだろう」ということから始まっているんですが、この上着もそうだなという感覚がすごくありました。オリジナルのジャングルファティーグが作られていたのは何年頃でしたっけ。 

石川:1963年です。そこから1980年代まで長く作られていた洋服ですね。ベトナム戦争以前、戦争は寒い地域が中心でしか起きていなかったのですが、ベトナム戦争ではじめて熱帯のジャングルが戦場になったんです。それに向けて、かつて分厚い素材しかなかった戦闘服を薄手のウェザー生地で作ったものがジャングルファティーグですね。

二村:こういうミリタリーのユニフォームはとてもカッコいいですよね。軍の人だったら全身で着るものですが、僕たちが春先にサラッと羽織るにはどうしたらいいかなと考えて作ったのがこのスタイルです。

― 中に合わせているのは白いスウェットですか?

そうですね。こういう軍モノにセンタークリースが入ったようなスラックスをあわせて、それでスニーカーでハズして帳尻をあわせるスタイリングは、僕自身がずっと好きな部分でもあって、それをマーカウェアのコレクションでやってみた形です。やはり春なのでライトに見えたほうが良いと考えて、「白」の分量をどれくらいにするかなということを意識しました。ネイビーの色出しは今回綺麗でしたね。少し明るいネイビーから濃いネイビーまで。

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二村:ニューヨークとかに行っていても、人種を問わずオシャレな人はオシャレなんですよね。黒い肌の人でサラッとしたファッションをやったらカッコいいんじゃないかとキャスティングしたんですが、彼はよかったですね。洋服についてお話すると、まずボトムスは白いジャングルファティーグ。裾が絞れていて白という色がスポーティーな印象になるのでいいなと。そこにベンタイルのベージュのコートを合わせると爽やかで良い合わせになりました。さらに、マーカウェアなりのオーセンティックなアイテムを入れるということでシャンブレーを合わせました。スニーカーはグレーですね。スニーカーにはシルバーもあったんですが、白いパンツが充分爽やかだったのでスニーカーはワントーン落としています。

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二村:これは同じベンタイルのコートですが、ドロップショルダーですね。色合せは1体目と同じような具合になっています。カーキのコートに、白い、薄いセーターをあわせて。パンツは黒よりも少し明るいネイビーが爽やかで良いなと。このコートはベーシックですが綺麗ですね。少しユルい感じがいいと思います。

石川:ベンタイルはもともと軍用の素材で英国軍のパイロット用に開発されたオーセンティックな生地ですし、天然素材なのに高撥水という機能性があるところも気に入っている素材です。

二村:共通して言えるのは、スニーカーは久しぶりですよね。ユニフォーム的な革靴という印象をベースにというところで、革靴がコレクションごとに変わってきたという流れがあるなかで、スニーカーがあったことが新鮮でした。その出来もよかったですし、スニーカーによってスタイリングの仕組みが変わっているのかもしれないですね。

石川:いままでよりも全体が軽い印象になったかもしれないですね。

二村:ジャングルファティーグに革靴という気分ではなくて、男らしいジャングルファティーグにはスポーティーなスニーカー、というのがいまの気分なのかもしれないですね。それがコレクション全体にも出ていて良かったと思います。 

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― ピュアなホワイトのコーディネートです。 

二村:これは、実は僕があこがれるコーディネートなんですよ。純白。僕が自分で着ようとすると、ここまで攻めきることができず、どこかがネイビーになってしまうんですが、でもがんばりたいです。このルックではショーツが非常に効いているんですよね。石川さん、これもミリタリーですか?

石川:カーゴパンツのサイドポケットはフルレングスだともっと低い位置にあるんですが、ショーツにするときには位置を腰まで上げているんです。

二村:これが普通のコットンショーツだと少しコンサバすぎる印象を与えてしまうかと思うんですが、これがジャングルファティーグになっている分カジュアルでいいですよね。シャツはワイドシルエットでドルマンスリーブ。春先から夏にかけて一枚で着て楽しんで欲しいシャツですね。ビタっとしたシャツではなくて、ユルいシルエットがオーセンティックなシャツのなかで味わえる、非常に良いアイテムだと思います。

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石川:ウールモヘアのトロのセットアップですね。

二村:僕自身、冬の間にやろうとしながらできていないんですが、そろそろ綺麗なスーツにスニーカーという洋服の着かたを自分でやりたいなと。スーツに、中は丸首のものを着て、スニーカーという格好をしたいなという願望が出て作ったスタイルですね。スーツでもフランネルならそんなにカチカチしないと思って洋服を探してはいたんですが、結局バタバタと仕事をしていたら結局ジーンズばかりになってしまったんです。でもスーツを着たいなという想いはまだ続いていますね。昔、ウエスタンブーツを履いていた頃は、コーデュロイのセットアップを襟を立てて着ていたこともあったんですが、スーツを着る機会というのはなかなかないんですよ。ルックに話を戻しますが、色あいも絶妙だったんですよね。紺とカーキの切り替えになっているジャケットと、紺のスラックス。セットアップで、足元はスニーカーで外して着るのがカッコイイんじゃないかなという提案です。

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二村:リブ付きのパンツ。MARKAWAREのこういうスポーティーなディテールの入ったアイテムも相変わらずいいなと思います。スウェットパンツのようなシルエットですが、生地は綺麗なウールで下がキュッと絞れたパンツに、トップスをトラッドにするというのは好きなコーディネートですね。あと、ネイビーは永遠だなと思います。日本人にはネイビーやグレーは似合いますね。ネイビーのワントーンに白のスニーカーで外すところも自分の好みが強く出ています。 

― 石川さんにお伺いしたいのですが、いろいろなトーンのネイビーがあると思いますが、今シーズンはこんなネイビーにしたいという考えはあったんですか?

石川:デザイナーとしては、ネイビーはすごく難しい色なんです。というのも、時代によって洗練されて見える(洋服にしたときに映える)ネイビーというのは変わっていくんです。例えば、茄子紺のような明るい紺は日本ではあまり人気のない色なのですが、個人的には赤みの入った明るい紺色と限りなく黒に近い紺色は好きです。なので、軍モノを復刻する、たとえばN-1やああいうものにはオリジナルを意識して青みのある紺色をつけるんですが、それ以外に自分で意識的に色を決める場合にはちょっと赤みの入った紺色をつけています。ですから、基本的にMARKAWAREの紺は少し赤い紺色がついていると思います。

― このウールのパンツのネイビーはまさに赤みの入った紺ですね。

二村:今年の春から夏にかけては、石川さんが言っている限りなく黒に近い紺のパンツと茄子紺のパンツを2本買って、それに紺のTシャツで白のスタンスミス。夏はずっとその格好でしたよ。

石川:ルックの写真ではリブで遊んだタイプでスタイリングしてもらっていますが、普通のスラックスでも上品ですよね。

二村:少しヌケ感のあるネイビーのワントーンで、それを白のスニーカーで外すのは清潔感もあるし、ポスト・トラッドとしてはすごく良いんじゃないですかね。

― 着る上で大事になるのはサイズ感ですか?

二村:いまはけっこう自由だと思いますよ。ヌケ感でしょうね。サイズがピタピタでタイトすぎてもちょっとどうかなと思うでしょうし、人の雰囲気でその人にヌケがあればピタピタでもカッコイイかもしれない。微妙なバランスというよりは、なんでもありの時代だと思います。一概には言えませんね、その人によると思います。ただ、大きな流れとして言えるのはヌケ感のある形をどこかで見つけたほうがいいんだと思いますね。少し堅苦しさをなくすというか。それがポスト・トラッドなんじゃないかなと思います。それはサイズ感とは限りません。

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二村:本当は全身白で突っ張りたいんだけど、それはちょっとやりすぎかな、という時に、ネイビーやカーキ、ベージュといったパンツを履いて白の分量を増やすコーディネートというのは憧れますね。白のトップスというのは難しいので。難しいというのは、着たいんだけれど恥ずかしいというか少しとっつきにくいところがあるからなんですが。でも僕はすごく憧れるんですよ。その点、こういう軍モノだと白でも入って行きやすいですね。これはM-65ですよね。これだったら着たいなと思います。サラッとしていて。

石川:生地がリネンだからでしょうか。

二村:リネンのこういうのはありそうでなかなかないかもしれません。サラっと丸首の上に羽織るのにはカッコいいアウターですね。

石川:白とベージュのコーディネートというのはメンズカジュアルではなかなかなかったと思いますが、ここ数年ではこれくらいのクリーンさが新鮮に見えるかもしれませんね。

二村:一歩間違えるとその色あわせというのはほっこりしてしまうと思うんですが、このパンツのセンタークリースや、リネンなんだけど少し軍モノのシャープなディテールが入っているトップスという組み合わせの妙により、ナチュラルな色合いでもほっこりとせずにシャープに見えるのだと思います。

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― これで8体目ですね。

二村:ミリタリーの色合いで、こういうセットアップをトラックスーツのように着たらかっこいいんじゃないかと考えたコーディネートです。だからジャージのような感覚というか、リブ入りのブルゾンとパンツのスポーティーなニュアンスを強調していますね。シルバーのスニーカーを履かせて、これは悩むことなく一気に決まりました。

石川:二村さんがお感じになったとおり、スポーティーな要素を意識して作ったセットアップですが、素材はオーストラリア産のオーガニックウールのトロなので、いわゆるスポーツよりも高級感はあると思います。

二村:この生地、綺麗ですよね。普通にジャージやナイロンの上下でやってしまうと当たり前すぎてつまらないんですよ。それを軍モノの雰囲気で、ちょっとリブとかが入っているスポーティーな要素を拾ってこういうセットアップにするところが面白味です。

 

※1回目ここまで。2回目は2/10(火)公開予定です。

Text : Tsuzumi Aoyama