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PARKING
衣・食・住・遊のすべてにこだわりを持つ男性のための新しい生き方を模索する、Lifestyle Magazine型のショップ。
洋服のほか男性の生活全般に渡って必要な道具や消耗品をそろえ、「自然と街を結ぶトランスポーター」である自動車も重要なエッセンスとして機能。
PARKING MAGAZINE
今とこれからの男性の生き方を模索するウェブマガジン。働くこと、遊ぶこと、生活することを三位一体とし、「グローバル|ローカル」, 「都市|自然」, 「消費|創造」といった様々な隔たりを軽やかに飛び越えていく、自由で活動的でDIY精神豊かな男性像を模索していくウェブマガジンです。
PARKING COFFEE×CACAO WORKS
数社のロースターと契約し、セレクトしたスペシャリティーコーヒーを提供。
産地から直送されるカカオ豆を自家焙煎し、カカオと砂糖のみを用いた特別製法のチョコレートを販売。
コーヒーとチョコレートで朝の目覚まし、軽いランチ、午後の気分転換、夕方の一休みなどの時間と空間を提供します。

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    TEL: 03-6412-8637

    Existence Co., Ltd.

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2016.09.23
Movie Review Nº23 “ハドソン川の奇跡”

クリント・イーストウッドが綴る真実の実話。

監督デビュー作の『恐怖のメロディ』(1971) が1時間48分、監督2作目『愛のそよ風』(1973) も1時間48分、監督5作目『ガントレット』(1977) が1時間49分で、その後の長い監督キャリアを2時間超えの作品ばかり手がけてきたクリント・イーストウッド監督の、これは最も短い映画で、なんと1時間36分しかない。 

クリント・イーストウッド監督の『ハドソン川の奇跡』(原題Sully) は、航空史上例のない絶体絶命の大ピンチからの生還劇「ハドソン川の奇跡」の裏に隠された実話だ。

2009年1月15日、厳寒のニューヨーク上空850メートルで乗員5名乗客150名を乗せた航空機USエアウェイズ1549便を突如襲った全エンジン停止事故(事故原因は、鳥の群れが機体に衝突する「バードストライク」)。160万人が住む大都会の真上で制御不能になった70トンの機体は、高速で墜落していく。

近くのラガーディア空港に着陸するように管制室から指示があるなか、機長サリー・サレンバーガー(トム・ハンクス) はそれが出来ないと判断し、ハドソン川への不時着を決意。事故発生からわずか208秒のことだった。絶望的な状況のなか、技術的にも難易度の高い水面への不時着を見事に成功させ、「全員生存」という偉業を成し遂げる。その偉業は「ハドソン川の奇跡」と呼ばれ、サリーは一躍英雄として賞賛される‥‥はずだった。

ところが、サリー機長の「究極の決断」が思わぬ疑惑をかけられてしまう。本当に不時着以外の選択肢はなかったのか?   そして、乗客たちの命の危険に晒す無謀な判断ではなかったのか?

それは確かな経験に裏付けられた機長サリーの判断だった。ところが、英雄は突如として容疑者になり、乗員乗客すべての命を救った英雄への追求は厳しさを増す。それでもけっして折れない不屈の信念と、けっして揺らぐことのない機長サリーの人間を暴き出す。

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2015年、この実話に感動した、歌手であり友人だった『知りすぎていた男』のドリス・デイ(イーストウッドの年上で、なんと94歳である) から渡された新聞記事の切り抜きをイーストウッドが読んだのが企画のはじまりだった。

イーストウッドいわく「事態が悪化している最中に理性を保てる人物、パニックにならず問題に冷静に対処できる人物」ということで、機長サリー役は(フランク・キャプラ映画のジェームズ・スチュアートみたいな)トム・ハンクスに白羽の矢が立った。

『キャプテン・フィリップス』(2013) でシージャックされるリチャード・フィリップスも実話だったので、トム・ハンクスは2009年1月に機長としてニューヨークの空でハドソン川への不時着を試み、2009年春には船長としてソマリアの海で黒い海賊たちと戦わなければならない(2つの実話はともに2009年の出来事なのだ)。

おもしろいことに、これは2009年1月15日の出来事であり、映画のなかにインサートされるマンハッタンのタイムズスクエアでは、同年1月8日に公開された『グラン・トリノ』のポスターが映る。アルフレッド・ヒッチコック監督ならこういうカメオ出演はザラだが、大映しになったクリント・イーストウッドがしっかりこちらに睨みを利かせている。 

映画が短くなった原因は、事故の再現VTRを流してもわずか10分程度しかないことだ。フライトレコーダーで、音声を再生してもすごく短いのだ。不時着の瞬間、キャビンアテンダントたちの声がこだまする。「身構えて、衝撃に備えてください。頭を下げて、姿勢を低くして!」 この緊迫感はすごい。

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コックピットでハンクスに加わったのは、副操縦士ジェフ・スカイルズ役のアーロン・エッカートだ。「脚本の構成がすばらしかった。飛行機が離陸してから鳥が衝突するまで、3分半しかなかった。そんな短い時間の出来事からどうやって1本の映画を作ります?」

現在86歳のクリント・イーストウッド監督の語り口はますます手練れ感を増している。上手いのだ。テレンス・マリックやアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥとは、いわば対極にある語り口で、一切の無駄がない。つまり、ストーリーの幹になる部分しか説明していない。ラガーディア空港を離陸する飛行機の再現フィルムはおよそ30分後から。そしてフライトレコーダーによるコックピット音の再現(謎解きの部分にあたる) は、ラストに用意される。すごい語り口なのだ。

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サリー・サレンバーガー機長の妻ローリー・サレンバーガーを演じるのは、『目撃』(1997) 『ミスティック・リバー』(2003) のローラ・リニーだ。カリフォルニアの自宅にいるから、携帯電話で参加するのみなのである。イーストウッド本人が作曲したメロディアスな主題歌は「Flying Home」。機長サリーの心情を訴えていて、心に沁みる。

撮影監督はトム・スターン。本作は、ARRI ALEXA 65ミリカメラあらゆる場面で使われた。だから、なるべく画面が大きく感じられるIMAXシアターで観ていただきたい。東京近郊だと、T・ジョイPRINCE品川一択かもしれない。

 

 

(C)2016 Warner Bros. All Rights Reserved

『ハドソン川の奇跡』
2016年9月24日(土)よりロードショー
配給:ワーナー・ブラザース映画
www.hudson-kiseki.jp 

 

Text : Mutsuo Sato