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〈MARKAWARE〉、〈marka〉の2ブランドから生み出されるウエアには一点一点、物語が眠っています。
原料選びから紡績、製織、染色、縫製、プレス、加工に至るまで、それぞれのウエアが作られる背景や各過程を支える職人や工場、農園を紹介しながら、これから暮らしをともにする洋服により愛着を持っていただけるような情報を共有していくのが「PARKING MAGAZINE」。
アイテム1つずつに深い理解度を持って愛せる、好奇心を持った男性に贈るウェブマガジンです。

FACTORIES良質な服が生まれる場所と人。

Vol.02 唐津シャツ工房(後編)

Vol02.Karatsu Shirts Workshop

March 16, 2018

“メイド・イン・ジャパン”にこだわったクオリティの高い洋服作りを支える頼もしき職人や工房を紹介していく「FACTRY’S」。今回も引き続き佐賀県「唐津シャツ工房」取材をお届け。後編では工房の成り立ちから特殊な生産背景や仕上げへのこだわり、デザイナーとの信頼関係作りなど、シャツ作りのコアとなる部分をご紹介。

デザイナーとのやり取りで
進化する貴重なシャツ工房

前編の記事にて代表である力武正二さんが話していたように、「唐津シャツ工房」は他の工場では断られるような難しい仕様のシャツでも受け入れてくれる服作りに携わる人たちにとっては心強い場所である。その仕様のみならず多くのデザイナーやブランドから支持を受けているのが、小ロットでの生産でも相談ができるところ。そんな作り手に親身となった独自の生産スタンスこそ創設当時から守り続ける工房のこだわりなのだと力武さんは話す。

「私は高校を卒業してからすぐに『金田シャツ』というシャツ専門工場に就職したんです。その当時は大量生産全盛期で働いていた工場には一型で何万枚といった今では考えられないようなすごい数のオーダーを請け負っていたんです。そんなオーダーが入った日には1日中同じパーツを作り続けたりしていましたね。大量オーダーが普通だった時代だけに、100枚、200枚の小ロット生産を請け負える工場が少なかったんです。それなら私が小ロットな生産数でも相談が受けられる工房を作ろうと思ったのがきっかけで、このシャツ工房をスタートしました。

昔と比ベれば今は生産規模も縮小しているのでその反面、大きな工場もロット数には少し寛容になっていると思いますが、シャツ10枚といった極小生産でも工場が規定を持っていて、その規格を外れると生産してくれない工場が非常に多いらしい。もし受け入れる工場があったとしても完成度に物足りなさを感じることも。

だが、「唐津シャツ工房」ではロット数もデザイン仕様も寛容でありながら、仕事も丁寧でしっかり自分たちが意図したクオリティの高いシャツを仕上げてくれる貴重な工房なのだと話していた。そんなフレキシブルな生産体制こそデザイナーから熱い信頼を受けている理由。

「私たちの工房は規模感が小さいだけに作業工程なども自在に変化できるので、デザイナーさんやブランドさんからやってくるいろいろなオーダーも臨機応変に対応できるんですよ。先ほども話したように難題な縫製仕様も自分たちで工夫して一生懸命に仕上げてくれる優秀なスタッフもいますし、そういった自由がきく生産体制を作ることでデザイナーさんとも密になってシャツ作りができて信頼関係を築ける。それがなによりの醍醐味でもあり、大きな工場ではできない私が一番の理想としていた工房の形なんです」。

どんなデザインも唐津シャツ工房が
しっかりとしたシャツの顔にする

ロット数もデザイン仕様もできる限り相談に乗ってくれる心強き「唐津シャツ工房」は、シャツ生産の仕上がりにおいて得意するところが具体的にある。力武さんによるとその得意ジャンルとは”メンズのきれいなカジュアルシャツ”。それを聞いて洗練されたデザインながらいつでも気軽に着られるカジュアルさも併せ持つような「PARKING」で見たブロード地のレギュラーカラーシャツの姿が頭をよきぞった。

石川さんに話を聞けば、まさにその「唐津シャツ工房」の得意とする仕上げを想定してシャツをデザインをしているらしい。デザイナーにとっては企画を進める上で、そういった上がりが見えて信頼の置ける工
房があるかないかで服作りの心持ちが全く違う。それだけに力武さんも自分たちのシャツ作りの得意不得意を明確に示して上がりのイメージを共有することを大切にしている。

「まずうちの工房で苦手というかできないのが、ワークシャツやミリタリーシャツ、デニムアイテムなど3本針のミシンを使うような厚地シャツの生産。また、レディースのブラウスやシャツジャケットのような変形アイテムもここでは生産できないんです。例えばデニムやワーク系であれば岡山県だったり、それぞれエリアや工房で得意とするジャンルがあって、それを理解してデザイナーさんは生産を発注すると思います。

その点で私たちが得意としていてよくオーダーを受けるシャツの仕様を具体的に表すならば、デザインはカジュアルですが、メンズのドレスやフォーマルシャツにも通じるようなしっかりとした縫製やプレスの仕上げ。これをデザイナーさんに認識していただいた上でデザインをいただいていますね」。「唐津シャツ工房」とともに服作りをする中で、デザイナーの石川さんがもっとも信頼を寄せているのがそのシャツの仕上がりである。

それはどんなデザインでもきちっとしたメンズシャツの面構えに仕上げてもらえること。多くのブランドからも”シャツらしいシャツ”を生産すると支持を受ける「唐津シャツ工房」がシャツ作りで大切にしていることを最後に力武さんに聞いてみた。「いいシャツを作る上で裁断、縫製、プレス、どの作業も大事でそのバランスが崩れると良いものはできないですね。その中でも特に心がけているといえば襟の作りです。

襟まわりはシャツの顔となる見せ所でもあるので、そこがしっかり作れているときっちりとしたシャツの見栄えになります。だからうちではそれぞれのブランドのシャツに合わせて襟首の金型を自分たちで作って管理しているんです。その金型作りをしているのもこの工房ならではですね。でも一番私たちが大事にしているのはデザイナーの意思をしっかり共有してブランドの世界観を尊重しつつ、細かいディテールまで丁寧に作業して完璧な形でシャツを仕上げること。

その点で石川さんのデザインする洋服はとにかくパターンが面白く、「こういうカーブをつなげるの!?」います。まさに挑戦状を投げられているかのように(笑)。でも、それをみんなで試行錯誤しながら仕上げることで技術もレヘぞルアップしますし、なにより納品した時の喜ひぞが大きい。そんなブランドさんと一緒に成長していけるのがこのシャツ工房のなによりもの強みだと思います」。

唐津シャツ工房

同佐賀県にあるシャツ専門工場にて生産経験を積んだ力武正二さんが1995年に独立し自身の工房をスタート。2017年に会社名を現在の「唐津シャツ工房」に変更し、工場も移転した。きれいな仕上げのメンズカジュアルシャツの生産を得意とし、小ロット生産やデザインの理解度などフレキシブルな生産背景と細やかな縫製で多くのブランドから絶大な支持を受けている。

Photo : Tetsuo Kashiwada
Text : Yuichi Samejima

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デザイナーとのやり取りで
進化する貴重なシャツ工房

前編の記事にて代表である力武正二さんが話していたように、「唐津シャツ工房」は他の工場では断られるような難しい仕様のシャツでも受け入れてくれる服作りに携わる人たちにとっては心強い場所である。その仕様のみならず多くのデザイナーやブランドから支持を受けているのが、小ロットでの生産でも相談ができるところ。そんな作り手に親身となった独自の生産スタンスこそ創設当時から守り続ける工房のこだわりなのだと力武さんは話す。

「私は高校を卒業してからすぐに『金田シャツ』というシャツ専門工場に就職したんです。その当時は大量生産全盛期で働いていた工場には一型で何万枚といった今では考えられないようなすごい数のオーダーを請け負っていたんです。そんなオーダーが入った日には1日中同じパーツを作り続けたりしていましたね。大量オーダーが普通だった時代だけに、100枚、200枚の小ロット生産を請け負える工場が少なかったんです。それなら私が小ロットな生産数でも相談が受けられる工房を作ろうと思ったのがきっかけで、このシャツ工房をスタートしました。

昔と比ベれば今は生産規模も縮小しているのでその反面、大きな工場もロット数には少し寛容になっていると思いますが、シャツ10枚といった極小生産でも工場が規定を持っていて、その規格を外れると生産してくれない工場が非常に多いらしい。もし受け入れる工場があったとしても完成度に物足りなさを感じることも。

だが、「唐津シャツ工房」ではロット数もデザイン仕様も寛容でありながら、仕事も丁寧でしっかり自分たちが意図したクオリティの高いシャツを仕上げてくれる貴重な工房なのだと話していた。そんなフレキシブルな生産体制こそデザイナーから熱い信頼を受けている理由。

「私たちの工房は規模感が小さいだけに作業工程なども自在に変化できるので、デザイナーさんやブランドさんからやってくるいろいろなオーダーも臨機応変に対応できるんですよ。先ほども話したように難題な縫製仕様も自分たちで工夫して一生懸命に仕上げてくれる優秀なスタッフもいますし、そういった自由がきく生産体制を作ることでデザイナーさんとも密になってシャツ作りができて信頼関係を築ける。それがなによりの醍醐味でもあり、大きな工場ではできない私が一番の理想としていた工房の形なんです」。

どんなデザインも唐津シャツ工房が
しっかりとしたシャツの顔にする

ロット数もデザイン仕様もできる限り相談に乗ってくれる心強き「唐津シャツ工房」は、シャツ生産の仕上がりにおいて得意するところが具体的にある。力武さんによるとその得意ジャンルとは”メンズのきれいなカジュアルシャツ”。それを聞いて洗練されたデザインながらいつでも気軽に着られるカジュアルさも併せ持つような「PARKING」で見たブロード地のレギュラーカラーシャツの姿が頭をよきぞった。

石川さんに話を聞けば、まさにその「唐津シャツ工房」の得意とする仕上げを想定してシャツをデザインをしているらしい。デザイナーにとっては企画を進める上で、そういった上がりが見えて信頼の置ける工
房があるかないかで服作りの心持ちが全く違う。それだけに力武さんも自分たちのシャツ作りの得意不得意を明確に示して上がりのイメージを共有することを大切にしている。

「まずうちの工房で苦手というかできないのが、ワークシャツやミリタリーシャツ、デニムアイテムなど3本針のミシンを使うような厚地シャツの生産。また、レディースのブラウスやシャツジャケットのような変形アイテムもここでは生産できないんです。例えばデニムやワーク系であれば岡山県だったり、それぞれエリアや工房で得意とするジャンルがあって、それを理解してデザイナーさんは生産を発注すると思います。

その点で私たちが得意としていてよくオーダーを受けるシャツの仕様を具体的に表すならば、デザインはカジュアルですが、メンズのドレスやフォーマルシャツにも通じるようなしっかりとした縫製やプレスの仕上げ。これをデザイナーさんに認識していただいた上でデザインをいただいていますね」。「唐津シャツ工房」とともに服作りをする中で、デザイナーの石川さんがもっとも信頼を寄せているのがそのシャツの仕上がりである。

それはどんなデザインでもきちっとしたメンズシャツの面構えに仕上げてもらえること。多くのブランドからも”シャツらしいシャツ”を生産すると支持を受ける「唐津シャツ工房」がシャツ作りで大切にしていることを最後に力武さんに聞いてみた。「いいシャツを作る上で裁断、縫製、プレス、どの作業も大事でそのバランスが崩れると良いものはできないですね。その中でも特に心がけているといえば襟の作りです。

襟まわりはシャツの顔となる見せ所でもあるので、そこがしっかり作れているときっちりとしたシャツの見栄えになります。だからうちではそれぞれのブランドのシャツに合わせて襟首の金型を自分たちで作って管理しているんです。その金型作りをしているのもこの工房ならではですね。でも一番私たちが大事にしているのはデザイナーの意思をしっかり共有してブランドの世界観を尊重しつつ、細かいディテールまで丁寧に作業して完璧な形でシャツを仕上げること。

その点で石川さんのデザインする洋服はとにかくパターンが面白く、「こういうカーブをつなげるの!?」います。まさに挑戦状を投げられているかのように(笑)。でも、それをみんなで試行錯誤しながら仕上げることで技術もレヘぞルアップしますし、なにより納品した時の喜ひぞが大きい。そんなブランドさんと一緒に成長していけるのがこのシャツ工房のなによりもの強みだと思います」。

唐津シャツ工房

同佐賀県にあるシャツ専門工場にて生産経験を積んだ力武正二さんが1995年に独立し自身の工房をスタート。2017年に会社名を現在の「唐津シャツ工房」に変更し、工場も移転した。きれいな仕上げのメンズカジュアルシャツの生産を得意とし、小ロット生産やデザインの理解度などフレキシブルな生産背景と細やかな縫製で多くのブランドから絶大な支持を受けている。

Photo : Tetsuo Kashiwada
Text : Yuichi Samejima

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