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〈MARKAWARE〉、〈marka〉の2ブランドから生み出されるウエアには一点一点、物語が眠っています。
原料選びから紡績、製織、染色、縫製、プレス、加工に至るまで、それぞれのウエアが作られる背景や各過程を支える職人や工場、農園を紹介しながら、これから暮らしをともにする洋服により愛着を持っていただけるような情報を共有していくのが「PARKING MAGAZINE」。
アイテム1つずつに深い理解度を持って愛せる、好奇心を持った男性に贈るウェブマガジンです。

Vol.01 Organic Cotton Farm, India

インドオーガニックコットン(前編)

March 10, 2018

洋服は農業からはじまる。コットン、リネン、シルク、ウールなど天然素材は、農家や酪農家たちが育てることでできている。その現場に足を運んで、原点をたどることで、目の前にある洋服がどうやって生まれてくるか、どんな人たちがそこに携わっているのかといったストーリーをこのコラムでは伝えていきます。ファッションからは少し離れたところにありますが、是非お付き合い下さい。
初回はインドのオーガニックコットンづくりを支える現場を訪ねました。

昨年の11月にインドへ行ってきました。到着したデリーは大気汚染が酷く、カーキ色の粒子で数十メートル先がかすんで見えません。この日はデリーの小学校が全て休校になるほど酷い日だったようで、一日過ごすとたばこを50本吸ったことになると帰国後の報道で知りました。工場や車からの排気ガスに加え、雨があまり降らずに風が弱いこの時期に農業地帯で行われる野焼きも重なり、デリーを中心としたインド北部はスモッグに包まれています。砂と化学薬品が混じりあったような臭いが鼻の粘膜に粒子と一緒にこびりつくようでした。

 早く抜け出したかったデリーを飛び出し飛行機で南に1時間。到着したインドールの空気には臭いが無く、マスクは不要。空港から車で2時間のKasrawadにこの旅の目的地であるコットン農園とbioReインディアの研究施設があります。滞在したのはその施設のトレーニングセンターで、宿泊施設が併設されています。
 周辺には試験農園があり、種子の交配や農法の研究などが行われており、そこで培われたノウハウがこの地域でのベースとなり綿花栽培が行われています。ここで作られるコットンは全て非遺伝子組み換え、オーガニック栽培。敷地内では牛が飼われていて、耕作のほかにもコンポストやバイオガス作りに活用されています。またその牛乳でヨーグルト作りが行われるなど、牛は農業と生活に無くてはならない動物として飼われています。
 ここで少し長くなりますがオーガニックコットンと遺伝子組み換えに関する話をさせて下さい。食べることの無い綿花は農薬使用や遺伝子組み換えが意識されることはあまり無いと思います。ではなぜ非遺伝子組み換えオーガニックコットンの必要性があるのか? これには世界中で多くの論争があり、それぞれの立場からいろんな意見が出ています。遺伝子組み換えは生態系に悪い影響がある・ない。散布される農薬で健康被害が出る・ない、などなど。様々な研究も行われていますが公的な機関も最終結論は出せずにいます。ただ僕は「遺伝子組み替えが生態系に無影響であることは無い、農薬は少量で健康被害が出るほどでは無いが、全ての化学薬品は量を多く採れば被害を起こしうるし、環境に蓄積される可能性が高い」と考えています。つまり、遺伝子組み換えで無い方が良くて、生産農家の人たちや環境も化学的な農薬を曝されずに生産できる方が良いと思っています。あとは品質と経済性の問題になるので、品質が良いモノがあまり採れなかったり、収穫量が少なくなればどうしても高くなります。そのコストを皆で負担できれば環境や人に与える影響を少なくすることができるということです。自分の作る洋服から可能な限りネガティブな要素を無くしたいと思っているので、僕はオーガニックコットンを使いたいと思っています。価格も高くなりますが、その方が洋服の中に想いを巡らすことが出来るストーリーの奥行きを加えていけると思っています。
 この施設では遺伝子組み換えコットンも育てています。それは研究対象として、遺伝子組み換えと非遺伝子組み替えの両方を育てることによって、その差異を明確にして非遺伝子組み換えオーガニックコットンの生産に役立てようという理由によります。写真にある機器は、遺伝子組み換えコットンが混じらないように導入された遺伝子組み換えテストマシーン。この遺伝子組み換えが混じらないようにというのは大きなテーマで各段階で徹底的に検査されています。
 次に訪れたのはスイスに本拠地を置きヨーロッパで40年に渡ってオーガニック農法の研究を行うFiBLと合同で運営する研究施設。ここでも数多くの種子と農法の組み合わせが研究されており、種子開発農場も併設されています。昆虫や土壌の研究も行い、質と量の両面でより良いオーガニックコットン作りを支えています。彼らの大きな目的はオーガニック農法が遺伝子組み換えをする慣行農法より優れていることを科学的に証明することで、その研究を続けています。
 各農家の努力のみならず、専門の研究機関が栽培を支えることで地域の農家が安心してオーガニックコットンづくりを行える仕組みが整えています。
 次回は農家を訪問します。
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洋服は農業からはじまる。コットン、リネン、シルク、ウールなど天然素材は、農家や酪農家たちが育てることでできている。その現場に足を運んで、原点をたどることで、目の前にある洋服がどうやって生まれてくるか、どんな人たちがそこに携わっているのかといったストーリーをこのコラムでは伝えていきます。ファッションからは少し離れたところにありますが、是非お付き合い下さい。
初回はインドのオーガニックコットンづくりを支える現場を訪ねました。

昨年の11月にインドへ行ってきました。到着したデリーは大気汚染が酷く、カーキ色の粒子で数十メートル先がかすんで見えません。この日はデリーの小学校が全て休校になるほど酷い日だったようで、一日過ごすとたばこを50本吸ったことになると帰国後の報道で知りました。工場や車からの排気ガスに加え、雨があまり降らずに風が弱いこの時期に農業地帯で行われる野焼きも重なり、デリーを中心としたインド北部はスモッグに包まれています。砂と化学薬品が混じりあったような臭いが鼻の粘膜に粒子と一緒にこびりつくようでした。

 早く抜け出したかったデリーを飛び出し飛行機で南に1時間。到着したインドールの空気には臭いが無く、マスクは不要。空港から車で2時間のKasrawadにこの旅の目的地であるコットン農園とbioReインディアの研究施設があります。滞在したのはその施設のトレーニングセンターで、宿泊施設が併設されています。
 周辺には試験農園があり、種子の交配や農法の研究などが行われており、そこで培われたノウハウがこの地域でのベースとなり綿花栽培が行われています。ここで作られるコットンは全て非遺伝子組み換え、オーガニック栽培。敷地内では牛が飼われていて、耕作のほかにもコンポストやバイオガス作りに活用されています。またその牛乳でヨーグルト作りが行われるなど、牛は農業と生活に無くてはならない動物として飼われています。
 ここで少し長くなりますがオーガニックコットンと遺伝子組み換えに関する話をさせて下さい。食べることの無い綿花は農薬使用や遺伝子組み換えが意識されることはあまり無いと思います。ではなぜ非遺伝子組み換えオーガニックコットンの必要性があるのか? これには世界中で多くの論争があり、それぞれの立場からいろんな意見が出ています。遺伝子組み換えは生態系に悪い影響がある・ない。散布される農薬で健康被害が出る・ない、などなど。様々な研究も行われていますが公的な機関も最終結論は出せずにいます。ただ僕は「遺伝子組み替えが生態系に無影響であることは無い、農薬は少量で健康被害が出るほどでは無いが、全ての化学薬品は量を多く採れば被害を起こしうるし、環境に蓄積される可能性が高い」と考えています。つまり、遺伝子組み換えで無い方が良くて、生産農家の人たちや環境も化学的な農薬を曝されずに生産できる方が良いと思っています。あとは品質と経済性の問題になるので、品質が良いモノがあまり採れなかったり、収穫量が少なくなればどうしても高くなります。そのコストを皆で負担できれば環境や人に与える影響を少なくすることができるということです。自分の作る洋服から可能な限りネガティブな要素を無くしたいと思っているので、僕はオーガニックコットンを使いたいと思っています。価格も高くなりますが、その方が洋服の中に想いを巡らすことが出来るストーリーの奥行きを加えていけると思っています。
 この施設では遺伝子組み換えコットンも育てています。それは研究対象として、遺伝子組み換えと非遺伝子組み替えの両方を育てることによって、その差異を明確にして非遺伝子組み換えオーガニックコットンの生産に役立てようという理由によります。写真にある機器は、遺伝子組み換えコットンが混じらないように導入された遺伝子組み換えテストマシーン。この遺伝子組み換えが混じらないようにというのは大きなテーマで各段階で徹底的に検査されています。
 次に訪れたのはスイスに本拠地を置きヨーロッパで40年に渡ってオーガニック農法の研究を行うFiBLと合同で運営する研究施設。ここでも数多くの種子と農法の組み合わせが研究されており、種子開発農場も併設されています。昆虫や土壌の研究も行い、質と量の両面でより良いオーガニックコットン作りを支えています。彼らの大きな目的はオーガニック農法が遺伝子組み換えをする慣行農法より優れていることを科学的に証明することで、その研究を続けています。
 各農家の努力のみならず、専門の研究機関が栽培を支えることで地域の農家が安心してオーガニックコットンづくりを行える仕組みが整えています。
 次回は農家を訪問します。
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