着古したものへのかっこよさ、経年変化に美しさを見出すイギリス人の美的感覚と日本人のそれに近いものを感じたときに、あえて毛羽立たせた素材、シャギードッグのニットをいい素材で作ってみたいと思って採用したのが、このカシミアセーブル生地です。これは、カシミアに毛皮でよく知られるセーブルの毛を混ぜて糸にしたもの。
このニットは素肌の上から着たくなるほどの柔らかさがあり、心地よいのが特徴です。
形はあくまでもオーセンティック。イギリスのセーターに古くから使われているデザインを踏襲して、襟は身頃からの続きで編み、ラグラン風の形に。
また、襟ぐりを前後同じ高さにしています。通常でしたら低いほうが前身頃になりますが、このニットはどちらを前に着てもいい。これは、漁師系のガンジーセーターでも採用されているデザインで、まだ暗いときに漁に出かけなければならないときに、どちらを前に着ても問題ないようにしたという由来から導かれたデザインと言われています。
そこに遊びを加えて、身頃半分だけ色を変えました。ジャケットを羽織ってしまえば、まるで2色のセーターを持っているかのように使えるため、重宝します。
カラーバリエーションは、ネイビー×ブラウン、グレー×インディゴ、サンド×オリーブの3色展開。少し着込んで風合いが出たあたりのルックスも美しいので、たくさん着ていい味を出していただきたいアイテムです。
Text : Aiko Futamata