“スーパー120’s”とは、スーツの世界ではよく使われる言葉です。1kgの原料を使って何kmの糸を紡ぐことが出来るか?を表した数字です。つまり数字が多いほど長い糸を紡ぐことができる細い原料を意味します。スーパー120’sで約17.5μmの太さで、ほとんどの人がチクチクを感じない繊維だと言えます。その細さを活かして、細番手の梳毛にして綺麗なスーツ地に使われています。
MARKAWAREでは、綺麗なツヤの出る梳毛を引くためのスーパー120’sの原料であえて紡毛を作り、メルトン生地に仕上げました。毛羽をたたせた紡毛でありながら表面の光沢感が圧倒的に美しいことに加え、肌に触れたときの柔らかさは別格です。ヘビーなメルトンで、このなめらかな柔らかさを実現しているあたりに面白みがあります。
そんな柔らかい生地で仕立てたのは落ち感が出るようなオーバーサイズのダッフルコート。フロントにはあえてトグルではなくボタンを配し、比翼仕立てですっきりとしたデザインにしています。
シンプルに仕立てた一方で、目を引く大きめのポケットがデザイン上のアクセントに。フードは取り外しができ、ノーカラーにして着ることもできます。
中にインナーダウンを着込めば、氷点下の温度でも動けるくらい暖かい。
MARKAWAREではセーラーマンと呼んでいるコートです。1930年代アメリカの海軍が着ていたPEAコ-トをベースに、着丈を長くしてドレッシーに仕立てました。
昔の海軍上官たちは、自分のお気に入りのテーラーでいい素材を使ってオリジナルの軍服をオーダーしていたと言います。そのころのPEAコートを再現したいという思いから生まれたアイテムです。
当時の一般的なデザインであった10ボタンに加えて、艦上で着るために防風と集音効果を高めていたというクラシックな高襟のデザインを採用しました。ハンドウォーマーポケットを備えた大きめのシルエットなので、ゆったりとした着心地を楽しめます。
色は、写真のサンドに加えて、ブラック、ネイビー、オリーブ、ロイヤルブルーの5色で展開しています。
アワードジャケットです。肩幅を大きく取りながらも、なるべくシンプルで飾り気がないようにしたのがポイントです。ポケットはまっすぐ縦に配し、スーパー120’sメルトンと同じ原料を使った同色のリブ、ファスナーの周りのステッチも見えないようにすることでモダンな印象に仕上げました。重厚な雰囲気の中にしなやかさ、柔らかさを持ったホースハイドの袖も特徴です。
クラシックなスウェットパンツもこのメルトン生地で作りました。
クリース(センタープリーツ)を入れることによって、裾を少し折り返してしまえば、まるでスラックスを履いているように見えるパンツです。ウエストと裾はゴムなので穿き心地はとても楽。肌触りが抜群にいいだけでなく、温かく包み込まれるような感覚が味わえます。
また、シロセット加工というクリースが消えない加工も施しており、これはウール100%だからこそ可能なもの。穿きこんでもセンタープリーツがちゃんと残るので、アイロンを当てる必要はなし。購入した後のイージーケアにもこだわったパンツです。
Text : Aiko Futamata