デニムのように見えるこの生地は、オリジナルで作ったデニムライクなウール素材です。
MARKAAWAREでは旧式のシャトル織機を使いゆっくりと織り上げた生地を使う事が多いのですが、ここで使用しているのはレピア織機と呼ばれる革新織機です。
レピア織機で織った生地は普段はあまり遣わないのですが、ここで作られる生地は特別です。織機の速度を落とし、単位時間あたりの生産量が下がるのは承知の上で “なるべく風合いのいい生地を作りたい”というこだわりを注ぎ込み、日本有数の毛織物産地である尾州で揉まれた、卓越した技術により作られています。
この生地の特徴としては、ウールの紡毛がデニムライクに見えるように、酸性染料を用いている点。
縦糸にはキャメル糸を混紡してムラ感を出したオリジナルの糸を使用して、よりデニムらしく見えるというわけです。
横にはコットンを打ち、さらにデニムらしさを追求。表面はデニムらしい固めの質感がありながらも、肌に触れる裏側は柔らかく着心地がいい。この温かみと柔らかな風合いは、ほかにはない仕上がりです。
その生地を使って作ったアイテムを紹介しましょう。まずは、ここ2~3年で定番化した人気のコート。
“リラックスして着られて無駄をそぎ落としたものが作りたい”という想いから誕生したデザインです。サイドにダーツを利用したハンドウォーマーポケットをつけていますが、一見、ポケットもないようなミニマムなルックス。コクーンシルエットやドロップショルダーなどシルエットに丸みをつけることで、モダンな着こなしを叶えてくれます。
こちらはボトムス。デザイナーが個人的に所有している、1930年代のアメリカ陸軍で使用されていた、大変貴重なベイカーパンツがベースになっています。
バックシンチのディテールをアレンジしてウエストベルトに変更し、ボタンは当時の米軍が実際に使っていたUSアーミーのボタンを別注で作ったもの。
縫製はデニム工場に依頼してオーセンティックな作りを踏襲しています。また、Gジャンタイプもリリースします。生地自体はウールなので、デニムのような堅苦しさは一切なく、美しいドレープ感が魅力。より着心地がよく、いつTでもさらっと羽織りたくなる一着です。
Text : Aiko Futamata