“作り手として原料がオーガニックであることを大切にしたい”というデザイナー石川の想いを象徴する素材が、このオーガニックフラノです。実際に袖を通すお客様はもちろん、モノづくりの各工程に携わる方々にも想いを馳せたとき、農薬を使用しないことが農場に従事する方々の健康被害や土壌汚染をなくすことにつながっていくと考えるからです。そしてそれを実際に形にすることが、洋服作りに携わるものとしての責任ではないかという思いがあります。
この素材の原料となるのは、アルゼンチンでオーガニックの認証を受けた農園で作られたウール。希少なオーガニックウールの梳毛用の原料を使用し、日本の工場に別注をかけて60番双糸に作りあげたものを使ってできたのが、このオーガニックフラノです。日本の機織工場のシャトル織機で丁寧に織りました。
ブランドが誇る定番のコート。元々この素材を生かすために作ったアイテムで、無駄のないミニマルなデザインが特徴です。秋冬になると登場する、ブランドのアイコン的な存在ともいえます。ほどよい光沢感があり、上品に着こなせる上に、別注で作った毛芯を入れていますので、型崩れも少なく長く愛用できるというのも人気を集める理由のひとつ。インナーダウンを着込めば、日本の真冬にも十分対応できます。
さらにそのコートをベースにして生まれたのがこのショートコート。ジャケットとコートの中間的なデザインで、パッチポケットがワンポイントとしてデザイン上のアクセントとなっています。ドロップショルダーなので、ゆったりと着こなすことができ、旬なスタイルを構築するのにも一役買ってくれるはず。柔らかくリラックスして着られるとあって、人気を集めています。
このほかにもオーガニックフラノでは、肩を大きめにデザインしたノーラペルのジャケットや、MARKAWAREで定番のシルエットとなっているワンタックのスラックスを作りました。また、カラーバリエーションは、ブランドの今季のキーカラーであるキャメルのほかに、定番のブラック、クリーンなネイビー、そしてブラウンを用意しました。フランネル素材ならではの落ち着いた光沢感もまた、MARKAWAREらしく素材の上質さが際立つ、大人びたニュアンスを表現しています。
Text : Aiko Futamata