一見スウェードのようにさえ映るマットでクリーンなこのボトムは、別名“自立するデニム”。シャトル織機で可能な限界の太さの3.3番糸を打ち込んで織ったものです。最近の一般的なデニムは12oz、MARKAWAREの定番14~14.5ozを遥かに上回る20ozを実現。デニムの限界を追求しました。他にはないデニム生地の重厚感が見て取れるはずです。
特に腰回りなど、生地が重なっている部分を縫うのにはとても高度な技術を要します。生地をハンマーで何度も叩き込み、つぶしながら縫い込んでいかなければなりません。長年ジーンズの縫製をお願いしている新見ソーイングセンターが、ユニオンスペシャルを使って仕上げてくれました。また、それほどの硬さがある生地なので、履くのも脱ぐのも、ロールアップさえも大変。“一部のマニアックな方が喜んでくださったら”という、デザイナーの遊び心とこだわりを詰め込みました。
また見逃せないのが、この生地の特性をいかして、アメリカのヴィンテージデニムに見られる、ダックテイルがよりはっきり出る点。ダックテイルとは、お尻部分が直線的でまるでアヒルのお尻のように出っ張ったシルエットのこと。ヴィンテージの作りを丁寧に再現し、クラシックな雰囲気を出せるのがこのデニムの最大の魅力です。
Text : Aiko Futamata