MARKAWARE2015年春夏コレクションの準備は着々と進行しており、間もなくデリバリーを開始します。次のシーズンにはどのような考えで、どういった洋服を作っているのか。デザイナー石川俊介にそのバックグラウンドを聞くインタビュー、後編です。
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前回ではMARKAWARE2015年春夏コレクションのメインテーマである「ファティーグ」というキーワード、そして全体的に型数を絞り込んだ意図についてお話しましたが、洋服作りにおいて非常に重要な部分として、原材料の見直しも行いました。特に天竺とギャバジンにみられるように、ニューメキシコで作っている西インド諸島のコットンの種をオーガニックで育てた超長綿を使うなど、オーガニック素材を増やしています。これは、ものができあがるまでが好循環のなかで行われるようにしたいという思いからです。原材料を作っている人たちが農薬まみれで働かなければいけないことをなるべくなくしたい。これは自分が作っている洋服に責任を持つことでもあります。コーヒーショップを自分たちでやってみて、トレーサビリティやフェアトレードについて深く考えるようになったことも、そのきっかけです。ものを提供する立場として、原材料から生産のすべての過程についてきちんと分かるようにすることは重要な責務です。
具体的な洋服は前回述べたようにミリタリーとテーラードに二分されます。まずミリタリーではもともとの古着に忠実に作ることを実践しつつ、春夏の洋服なので素材を春夏向けに置き換えています。特にミリタリーではマスターピースと呼ばれるアイテムの多くは飛行機や船の甲板、しかも寒いヨーロッパ戦線で着用されていたものが多く、春夏向けではありません。そこで、過去にMARKAWAREやmarkaで何度もつくってきた、今シーズンのキーワードにも合致するジャングルファティーグが象徴的なアイテムとなります。またバックサテンのヨコ糸をリネンに打ちかえたM-65、春夏向けのブルゾンである66ナイロンのL-2Bなど。またここ数シーズン作っていなかったカーゴパンツが復活します。M-65のカーゴ、ジャングルファティーグ系のタイガーストライプなど、ショーツをあわせると型数は多めです。
テーラードのアイテムはジャケットを筆頭に、コートやベンタイルのジャケット、トラウザー、ショーツというオーソドックスな構成です。ジーンズはストレッチセルヴィッチの細身タイプ。オックスフォードのシャツは前身ごろのバランスを修整して着たときのドレープ感が美しくなるようにしています。
また、これは今シーズンで特別に試みていることですが、さまざまなアイテムでレギュラーシルエットとルーズシルエットを作りました。かつて軍モノを作っていた頃は、自分のカラダには大きすぎる古着をタイトにつくり直していましたが、今シーズンは逆に本物よりもルーズにしたものを提案しています。時代の流れを取り入れたリラックス感のあるシルエットが、ベーシックなアイテムに目新しさを加えるものとして差しこまれているあたりも楽しんでいただけると思います。まもなく店頭にもお届けしますので、どうぞお楽しみに。
Text : Tsuzumi Aoyama