MARKAWARE2015年春夏コレクションの準備は着々と進行しており、もう間もなくデリバリーを開始します。次のシーズンにはどのような考えで、どういった洋服を作っているのか。デザイナー石川俊介にそのバックグラウンドを聞きました。
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2015年の春夏コレクションは、MARKAWAREにとって原点回帰となります。掲げるキーワードは「Fatigue」。ミリタリーが好きな人であれば熱帯雨林地域での戦闘のために作られたジャングルファティーグを思い起こされると思いますが、ファティーグという言葉は、直訳すれば「疲れ」「疲労」「倦怠感」または「金属疲労」という意味があります。また、軍事用語としては「雑役」や「軍役訓練」転じて「作業服」や「戦闘服」という意味合いで使われるものです。
この数シーズン感じていたことですが、売れるための洋服作りに嫌気が差していたこと、自分を含む多くのアパレルメーカーがやっていることに嘘が沢山あるような気がしてしまっていました。それでも、洋服を作ることは好きなんです。生地屋さんで良い生地を作ったり、良い縫製工場さんでしっかりした縫製が施された素晴らしいサンプルが上がってきて、この服は自分で欲しいという胸を突き上げるような感動を覚えたとき、洋服を作る幸せを感じます。
考えてみれば、MARKAWAREは、こういう服作りをするためにはじめたブランドでした。メンズの基本となる洋服をしっかりと作ること、素材を入念に吟味すること、良い縫製にこだわること。その原点にもう一度立ち返りたいという想いで今シーズンの企画をしていきました。
まず、全体の構成では原点に立ち返るためミリタリーとテーラードをしっかりと作ることをやり、型数も絞り込みました。ここには自分のなかで今年は断捨離がテーマだということと、中目黒に設けている直営店、PARKINGのリニューアルを行ってラック数を少なくしたことなども関係しています。多くの方の琴線に触れることを考えて型数を増やしていくことよりも、このPARKINGというお店で展開できる型数を基準にしたい。また、お店で販売している姿をイメージできるアイテムを作ることを心がけました。
色も絞っています。ネイビー、ブラック、ベージュ、そして米軍のOG107というオリーブ色などスタンダードな色を基本として、春夏らしい軽さを出すホワイトを差し込む構成です。カラーバリエーションが欲しいアイテムもあると思いますが、そういうものは別ブランドとして進めているUtility Garmentsで作り、MAKAWAREではスタンダードなものをベーシックなトーンで作ることを重視しています。
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2015年春夏コレクション解説、前編はここまで。次回はトレーサビリティという考え方、ミリタリー、テーラードそれぞれにおける具体的なアイテムについてご紹介します。
Text : Tsuzumi Aoyama