2014F/WのMARKAWAREは、天然素材にこだわったコレクションを展開。ベンタイル、ローデンクロスやSuper 120’Sウールのメルトンなど、豊かな風合いをもちながら着込むほどに肌に馴染む洋服が揃います。このコーナーではデザイナー石川俊介にそれぞれの洋服に注ぎ込んだこだわりを聞きます。

—　MARKAWAREのコレクションにおいてミリタリーは男らしい無骨さをみせるエッセンスとして存在感を放っている印象があります。先日ご紹介したレザーのA2ジャケットも戦闘機乗りのためのミリタリーアイテムでしたね。

石川：ブランドの立ち上げから、ミリタリーは私が大切にしている要素のひとつです。まもなく皆さんにもお見せしますが、次の春夏のコレクションでもミリタリーには力を入れてアイテムを作っています。ポイントは、オリジナルに忠実に再現する部分と現代的にモディファイする部分のバランスですね。今回紹介するN-1 DECKJACKETにもその特徴がよく現れています。

—　もともとアメリカ海軍の、甲板で作業するデッキクルーのためのアウターですよね。オリジナルのシルエットは大ぶりですが、MARKAWAREのN-1 DECKJACKETはとてもスマートなルックスです。

石川：ロングとショートの２型があるのですが、ロングは特にスタイリッシュな印象を与えると思います。現代的なフォルムはみなさん着用しやすいとのことで、毎シーズン完売する人気アイテムとなっています。色調や生地は無骨ですが、この部分はオリジナルに忠実に作りこみました。

石川：特徴となるのはジャングルクロスと呼ばれるグログラン生地。合成繊維のなかった時代に防風性を高めるために太い経糸を使用して織られた高密度な生地です。国内でも最も打ち込み本数の多い織機を使って再現しました。

石川：厳寒期に着る洋服なので、裏地にはアルパカウールを使っています。保温性はもちろんのこと、軽量で吸湿性も高いので着心地は抜群です。この裏地は胴体では裾までしっかりと配しており、襟元、袖まできちんと入れています。

—　チンストラップもついていて、とても寒さに強そうなアイテムですね。

石川：もともと船の甲板で、波を浴び、風に吹かれながら作業をするためのアウターなので、ディテールの多くは防寒性に配慮したものですね。ここでも首周りのアルパカウールが風を防いでくれるので街着としては充分な防寒性を確保しています。

—　色のバリエーションは他にありますか？

石川：ネイビーとオリーブ、そしてブラックです。どの色もミリタリーならではの男らしさを強調する色使いになっています。胸元にはU.S.N.の文字を、背中にもステンシルでレタリングプリントを入れています。

石川：このレタリングはデザインをプラスするという理由もありますが、主な理由はオリジナルの再現です。クリアなプリントではなくヴィンテージ感を出したかすれたプリントにしているので店頭で買っていただいた時から、すぐに着た人に馴染みます。もちろん、質の高い生地を使用しているので、長く着るほどに経年変化による味も出るアイテムです。ぜひ袖を通してみてください。