KNOLL SUPER SOFT — 英国産のウールには石川さんの心を惹きつけるものがある、ということで、以前はKNOLL社の糸で織ったSUPERSOFT TWEEDを紹介しましたが、今回は同じ糸を使用した吊り裏毛生地のシリーズですね。
この糸は、11.5番という細く紡いで毛羽感のある紡毛糸に仕上げたものです。KNOLL社はトラディショナルながら美しいカラーコレクションを持っており、糸の質感といい色調といい、メンズのミドルゲージのセーターを作るには最高の素材だと思っています。
着込んでいくことによりできる毛羽立ちやネップが単なる劣化ではなく、セーターの雰囲気を高めるものとして感じられるのは上質の素材あってこそ。長く愛用してもらえる洋服というものは、生地や素材まで掘り下げてみていったときにも手抜かりのない良い仕事がされているものでしょう。このアイテムにかぎらず、MARAKAWAREで作る洋服はそうあるべきと考えています。
— 今回紹介するKNOLL SUPERSOFTではセーターやカーディガンのほか、スウェットなどの生地として使われる吊り裏毛という編みに仕立てたということですが。
吊り下げられた編み機で、生地にひっぱりの圧力をかけずに編んでいくことでふっくらとした肉感のある柔らかい生地になるのですが、今回紹介するシリーズでは裏毛、ヨコ編み、布帛と、同じ糸で編んだり織ったりしたものを組み合わせて使用しています。
袖はニット、身頃は裏毛、そして肘や肩当て、ポケットといったパッチ類は布帛です。カーディガンは大きな布帛パッチポケットが特徴のラウンドネックです。シャツの襟をのぞかせて襟元に遊びをつけるのもいいと思います。
クルーネックは裏毛でスポーティーなスウェットですが、素材の妙でいわゆるトレーナーよりも高級感が生まれました。同素材では少し細めのシルエットでトレーニングパンツも作りました。こちらも綺麗にはいていただけるデザインに仕上がっています。
Photo & Text : Tsuzumi Aoyama