2014F/WのMARKAWAREは、天然素材にこだわったコレクションを展開。ベンタイル、ローデンクロスやSuper 120’Sウールのメルトンなど、豊かな風合いをもちながら着込むほどに肌に馴染む洋服が揃います。このコーナーではデザイナー石川俊介にそれぞれの素材、洋服に注ぎ込んだこだわりを聞きます。
— 2014年の秋冬コレクションから作っているエプロンシャツが、今シーズンも好評です
石川:次の春夏コレクションでも展開予定なので、3シーズン続きますね。腰回りにぐるりとポケットを取りつけてあり、とても便利なアイテムです。ファーストシーズンではプルオーバーでしたが、今シーズンは前タテを下まで通してオープンフロントにしたことでワークシャツらしさが増しました。
— 直営店のPARKINGでも一番早く完売する人気アイテムということです。
石川:僕もこのシャツはよく着ているんですが、とにかく便利なんですよ。そもそもD.I.Y.作業で使うことを考えて作ったシャツですが、機能性の高さは都市での生活でも通用しますね。ちょっと近くまでの買い物やランチのときに、財布、携帯電話、カギ、文庫本などを手ぶらで持ち運べるので非常に便利です。
— カンヌキでしっかり強度を出しながら、ステッチを交差させてデザイン的な遊びも感じます。先日も打ち合わせのため、このシャツを縫っている工場にも行ってきたそうですね。
石川:MARKAWAREではいくつかのシャツを縫ってもらっている、岡山県倉敷市にある「WIRED」という工場です。もう何度も訪れては打ち合わせをさせてもらっている工場でうが、ワークシャツの縫製に関しては岡山でも1、2を争う素晴らしい工場です。岡山の工場のなかではかなり若い明石建宏さんが社長として率いているのですが、工場自体の雰囲気も明るく、打ち合わせなどで訪れると楽しい気持ちになる場所です。
— 実際に縫っているところを写真におさめてきたということですが、いくつか解説していただけますか?
石川:この写真はアームホールを裏返したところですが、二本針でしっかり裏もチェーンステッチになっているところが見てとれます。
石川:お針子さんが巻き縫い用のミシンで袖を縫っているところです。2枚の布を重ねてクルッと巻いた状態でアタッチメントに生地を通していくので、正確な技術が求められる作業です。写真ではわからない部分ですが、スピードも非常に早い。早くて巧い、WIREDさんの高い技術力を目の当たりにしました。
石川:先ほどの写真で使用していたミシンがこのブラザーのミシンです。ベッドの部分が細い筒状になっているので、袖など円筒状のものを縫うのに適しています。
石川:二本の針にそれぞれ通される糸は、これらはそれぞれ独立したコーン巻きから送られています。ここでは二本針による環縫いですが、Designers Blogでは一本針によるパイピング処理など、このシャツのマニアックな作り込みの部分についても書いているので、そちらもぜひ読んでみてください。
石川:エプロンシャツよりも深い色味のインディゴですが、これに加工をかけてこなれた色調に仕上げています。買ったその日から非常になじみが良く、冒頭でお話した通り使い勝手の良い服です。直営店のPARKINGではまだお取り扱いがありますので、ぜひご来店の際はお試しください。
Photo: (wired) Shunsuke Ishikawa, (stil, model) Tsuzumi Aoyama
Text : Tsuzumi Aoyama