— ロングブリムのハットは、非常に人気があって品切れ続出だったとか。
ご好評のため、直営店限定の新しいアイテムを特別に作りました。今シーズンはメンズでもこのタイプのハットを被っている人が多いですね。ウィメンズのほうではつば広のハットが数年前から流行していましたが、それがマスに浸透してきたのではないでしょうか。チェコ共和国で生産されたラビットファーの帽体を使用したハットです。
— ツバには刻みが入っていますが、これは何を意図したデザインですか?
帽体を生産する際にロットを識別するため、もともとブリムに刻みが入っていたんです。これはトリミングするよりもそのまま残したほうがアクセントとしても面白いだろうという意図で残しています。
— コロンとしたクラウンの形もかわいらしい帽子ですね。
帽体の元の形に近く、クラウンを丸天のままにしています。これは好みに合わせて中折れなど帽子の形を自由に遊んでいただくためです。
— どうやったら形をつけられるのでしょうか。
蒸気を当てると柔らかくなるというフェルトの特質を利用します。用意するものは蒸気をあげるための火にかけたお湯。鍋でもポットでも構いません。沸騰したお湯の上に帽子を持ち、内側、外側の両面に30分ほどしっかりと蒸気をあててください。しっとりと濡れるほど蒸気を当てると、生地は“ふにゃふにゃ”の状態になります。
ここでフロントをつまんでピンチを作ったり、トップを凹ませて中折れの男性的なデザインにしたりと好きな形に整えてください。ブリムもあげてみたり、さげてみたり、色々な遊びが可能ですね。
形を作った後は30分以上自然乾燥をさせます。フェルトから水分が抜けていくにつれて、緩んだ結合が再び強くなり、しっかりとした形に定着します。
中折れは男性的なイメージになりますし、グレーのタイプのようにラフにディンプルをつければヌケ感とニュアンスを足し込むことができます。季節ごとに変化していく着こなしにあわせてシンプルにもディテールで表情をつけても使える帽子ですよ。
Photo & Text : Tsuzumi Aoyama