2014F/WのMARKAWAREは、天然素材にこだわったコレクションを展開。ベンタイル、ローデンクロスやSuper 120’Sウールのメルトンなど、豊かな風合いをもちながら着込むほどに肌に馴染む洋服が揃います。このコーナーではデザイナー石川俊介にそれぞれの素材、洋服に注ぎ込んだこだわりを聞いていきます。
— 今回はSuper120’sの原料で仕立てたメルトンのコートです。いままでのMARKAWAREの服と比べるとゆったりとしたシルエットですね。
石川:もともとMARKAWAREでは、メルトンはガシガシに堅く、重いものを使うことが多かったんですが、今までに比べるとだいぶライトオンスで着やすく、リラックスしたものになっています。というのも、Super120’sの非常に柔らかい生地を使っていることもあって、しっかりとドロップショルダーにして肩が落ちるデザインにしたかったからです。今の時代らしくリラックス感を意識しました。
— ゆったりとしたドレープが生まれることで、生地の上品な光沢感が際立ちます。
石川:高級スーツ地の代名詞にもなっているSuper 120’sクオリティのウール原毛を、太い番手の紡毛につむぎ、その糸を生地の厚みを出すように二重織りに織り上げているのですが、この生地をさらに縮絨加工を施し、強い起毛をかけた上に剪毛して毛の長さを揃え、その上で撫で付けるビーバー加工で仕上げたものです。非常に手間がかかっていますが、この工程によって得られる素晴らしい光沢感と柔らかな風合いはこの生地でしか得られないものです。
— クラシカルな面持ちのコートですが、デザイン上のポイントを教えてください。
石川:ダッフルコートの特徴でもあるトグルボタンとロープをシンプルなボタンに変更して、シックに仕立てました。その一方で、遊び心も加えたいと思いましたので、このコートの場合には襟、フードのパーツを細かく分割して着脱可能にすることで4Wayの着方ができるようにしました。
石川:小さいジップを襟ぐりに取り付けてあり、このジップを使って襟元をアレンジすることができます。襟だけを外してたっぷりとしたフードだけでリラックスした首もとにしてもいいですし、襟まわりをすべて取り外してしまえばノーカラーにもできます。今シーズン注目が集まっているタートルネックとの相性もいいですね。
2: 襟を外してフードのみに。チンストラップも首もとのアレンジに活躍するパーツ。
3: フードを外して襟のみに。タートルネックとの相性もバツグン。
— その時々の洋服にあわせてアレンジを楽しむことができるんですね。フロントの大きなポケットも印象的でした。
石川:今シーズンの洋服では天然素材を使用しながらも機能性をスポイルしないことを重視しています。ポケットの収納力の高さも大事なポイントで、このコートではA4のクリアファイルが収まるサイズの大きなポケットを取り付けました。身頃にゆとりを持たせたコクーンシルエットなので、この大きなポケットもバランス良く収まっています。もちろん手入れもスムースですし、楽に着ていただけると思います。
Photo & Text : Tsuzumi Aoyama