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PARKING
衣・食・住・遊のすべてにこだわりを持つ男性のための新しい生き方を模索する、Lifestyle Magazine型のショップ。
洋服のほか男性の生活全般に渡って必要な道具や消耗品をそろえ、「自然と街を結ぶトランスポーター」である自動車も重要なエッセンスとして機能。
PARKING MAGAZINE
今とこれからの男性の生き方を模索するウェブマガジン。働くこと、遊ぶこと、生活することを三位一体とし、「グローバル|ローカル」, 「都市|自然」, 「消費|創造」といった様々な隔たりを軽やかに飛び越えていく、自由で活動的でDIY精神豊かな男性像を模索していくウェブマガジンです。
PARKING COFFEE×CACAO WORKS
数社のロースターと契約し、セレクトしたスペシャリティーコーヒーを提供。
産地から直送されるカカオ豆を自家焙煎し、カカオと砂糖のみを用いた特別製法のチョコレートを販売。
コーヒーとチョコレートで朝の目覚まし、軽いランチ、午後の気分転換、夕方の一休みなどの時間と空間を提供します。

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  • PARKING
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    1-3-8 Nakameguro, Meguro-ku
    Tokyo, JAPAN 153-0061
    153-0061 東京都目黒区中目黒 1-3-8
    渡辺ビル 1F
    TEL: 03-6412-8217
    EMAIL: info@parkingmag.jp
    STORE HOURS:
    12:00 - 20:00
    WEDNESDAY CLOSED

    PARKING

  • PARKING COFFEE X CACAO WORKS
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    1-10-5 Kamimeguro, Meguro-Ku
    Tokyo, JAPAN 153-0051
    153-0051 東京都目黒区上目黒 1-10-5
    フィールドストーン1F
    TEL: 03-6427-0806
    EMAIL: info@parkingmag.jp
    STORE HOURS: 9:00 - 19:00
    (Irregular Holidays)

    PARKING COFFEE X CACAO WORKS

  • Existence Co., Ltd.
    ADDRESS:
    1-1-45 Nakameguro, Meguro-ku
    Tokyo, JAPAN 150-0061
    153-0061 東京都目黒区中目黒 1-1-45
    TEL: 03-6412-8637

    Existence Co., Ltd.

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2014.07.23
Tsuyoshi Nimura Talks
About MARKAWARE 2014FW Collection Nº1スタイリスト二村毅による、ルックブック全コーディネート解説その1。

2014秋冬のMARKAWAREは「WHOLE LARDER LOVE」をテーマに、「食」を掘り下げるコレクションを展開。都市生活とカントリーサイドでの生活の両立をさまざまな角度から考えた洋服は、クラシックなアウトドア素材であるミラーレーン、ベンタイル、そしてローデンクロスといった天然素材をふんだんに使用して、秋の食材を感じさせるカラーパレットとともに変化に富んだコレクションに仕上がりました。

毎シーズン製作しているルックブックでは、これらの洋服を都市生活の中でも洗練された大人の装いとして着こなすためのコーディネートを提案しています。デザイナー石川俊介がこだわりを注ぎ込んだ洋服が、スタイリスト二村毅さんのスタイリングとフォトグラファー岡田潤さんの写真によりいきいきと写しだされました。

二村毅さんはエディトリアルを中心に、ショーや広告、アーティストのスタイリングと、その鋭い感性が高く評価されています。その二村さんはMARKAWAREの洋服をどのようにコーディネートしたのか、2014春夏コレクションに続き全ルックの解説をしていただきました。解説にはデザイナー石川俊介も同席し、洋服作りの過程を振り返っています。 

 

 

— 長いお話になってしまうかと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。

二村:こちらこそよろしくお願いします。自分が組んだコーディネートを自分の言葉で説明する機会は少ないので、新鮮ですね。洋服のことや着こなしをより良く知ってもらうためにはこうした試みは意味があると思います。

— では、早速ですがひとつめのコーディネートから解説をお願いします。グリーンのコートが印象的ですね。

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SUPER 120S MELTON FISHERMAN COAT ¥72,000 KNOLL HEAVY WAFFLE TURTLE NECK ¥18,000 SUPER SOFT TWEED GYM PANTS ¥30,000 HORWEEN CROME EXCELL SERVICE SHOES ¥62,000 

二村:仕上がった洋服を見せていただいたときの最初の感想として、僕の中ではグリーンがすごく印象的だったんですよ。ミリタリーのグリーンとは違う、深みのあるグリーンだと感じました。ポップすぎず渋さもあり、洋服の生地とのバランスがすごく良いグリーンをチョイスされているなと思って。「WHOLE LARDER LOVE」から「食物庫」というものをイメージさせるような、ヘルシーな色合い。それをオーガニックな個性的なものとして見せるのではなく、ストイックかつユニフォームのように、どちらかといえば無個性な方向にコーディネートするとどうなるのかなと、シンプルに作っていったのがこれですね。

ー 二村さんがおっしゃるとおり、去年の秋冬のグリーンとは少し違いますよね。

石川:今シーズンのグリーンより少し明るい色でしたね。ローデングリーンという色です。今回使っているローデンクロスという生地はオーストリアの生地で、アルプスの猟師やアウトドアで働く人達が着る服に使われていたものがルーツなのですが、その色を着想のきっかけにしてイメージを広げたものが今シーズン採用しているグリーンです。もともとはハンターが着ていた服でしたが、それをイタリア人が取り入れて洋服の上に着るようになったコートとして有名なものに、あのローデンコートがあります。70年代や80年代の前半はイタリア人の多くがローデンコートを着たことから、それを着てオペラに行っても良いというほどフォーマルな洋服として認められるようになりました。 

二村:ルックブックとして全体の流れを考えたときに、ワークウェアのように具体性を感じさせる洋服は後半に見せることにして、前半ではミニマルに見せることを重視しました。見る側が洋服に対していろいろな見方ができるコーディネートをまず提案するということですね。そのために前半はあえて色味を統一して洋服を選んでいます。グリーンは今シーズン注目のカラーですね。僕も今季のMARKAWAREの洋服を見て、早くグリーンの服を着たいなと思い、コットンのこういう色のセーターを買いましたよ。

ー コーディネートに戻りますが、ふたつめのルックではサロペットをあわせて、中にシャツとタートルネックを着込んでいます。

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LODEN-STEINER Ascona LODEN COAT ¥120,000 LODEN-STEINER Ascona FIELDMAN SALOPETTE ¥58,000 BAFFALO CROTH WORK SHIRTS ¥23,000 EXTRA-LONG-STAPLE DOUBLE JERSEY TURTLENECK SHIRTS ¥14,000 HORWEEN CROME EXCELL SEMI DRESS WORK BOOTS ¥69,000 

二村:いままでのMARKAWAREではあまり見られなかったと思うのですが、薄手のスウェット素材をはじめ、タートルネックのアイテムが何点かあったんですね。タートルネックは暖かいし、秋冬のコーディネートとしては一枚で成立できるところがありますが、今季のMARKAWAREのキーアイテムとして、タートルネックに、先ほど石川さんが解説してくださったローデンコートを羽織ったコーディネートを提案したかったんです。

— 首もとが立体的になり、レイヤードのバランスも独特ですね。

二村:コートとシャツの重ね着感ですね。ローデンコートの生地感や分量に対して、タートルネックのカットソー一枚だと少しリアリティがないなという感じがして、シャツを一枚、これもグリーンでプラスしています。

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SUPER 120S MELTON SAILERMAN COAT ¥68,000 KNOLL SUPER SOFT TWEED FIELDMAN SALOPETTE ¥39,000 HEAVY WAFFLE CREW NECK ¥16,000 EXTRA-LONG-STAPLE DOUBLE JERSEY TURTLENECK SHIRTS ¥14,000 HORWEEN CROME EXCELL SERVICE SHOES ¥62,000

ー 3体めのルックでもグリーンのアウターが印象的ですね。 

二村:グリーンに限定してコーディネートを見せる一連の流れを続けています。しかしボトムスはグリーンではなくすこしトーンを落とした色が似合うと考えていました。最終的にシルエットとくすんだトーンというところで、ブラウンのサロペットがすごく似合いましたね。コートのボタンを頼りにして色であわせてみたというところもあります。これも一つ前のコーディネート同様、タートルネックに最小限の重ね着でリアリティがあるように仕上げたつもりです。

— 靴もブラックよりも一段浅い色合いのグレーですね。

二村:この靴の色もいいですね。漆黒のシューズだと遠目からみたときに黒の押し出しが強すぎるんですが、すこし黒のトーンを浅くしていることで上品でノーブルな印象です。すごくオシャレだなと思いました。また、このあたりのレーンではアウターの素材感を楽しみたいなと思いながらコーディネートしていました。パンツのあわせとともに、少しボリューム感のある素材をどう着たら楽しめるかというコンビネーションですね。

ー ここ数シーズン、ピーコートはシャープでコンパクトなものが主流ですが、このコートは大ぶりで新鮮な印象があります。

石川:そうですね、MARKAWAREでこのボリューム感のあるピーコートを作ったことはなかったですね。せっかく素材が柔らかくて気持ちいいので、オチ感をつけて大きくしておきたいなと。

二村:この次に登場しますが、トレーナーにも大きいシルエットがあったり、全体的にはクラシックな中にも肩肘はらない感じが出ていて、それがすごくいいなと思いました。ライトな感じに見えるんですよ。

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60/10 SOFT LOOPWHEEL FLEECE BIG CREW NECK SWEAT SHIRTS ¥21,000 EXTRA-LONG-STAPLE DOUBLE JERSEY SHORT SLEEVES TEE ¥14,000 CORDUROY KERSEY COMFORT TAPERED CHINO ¥23,000 RABIT FUR ANTELOPE FINISH CLASHABLE HAT SHORT ¥24,000 HORWEEN CROME EXCELL SERVICE SHOES ¥62,000

二村:この服がすごく好きなんです。トレーナーですよね? ラグランで、大きくて、胸ポケットつき。写真では見えませんが肘の後ろには革のエルボーパッチ。僕がハマるポイントがたくさんあります。僕自身、トレーナー一枚で着ることやセーター一枚で歩くことはよくありますが、そんな気分で一枚で見せたいなというコーディネートです。全身グリーンでもスタイリッシュだったと思いますが、茶色いパンツで少しリアリティを出しました。

ー 誰でも取り入れやすそうなコーディネートですよね。

二村:いいと思いますよ。秋っぽくて季節感もあって。MARKAWAREというブランドなりの色合いや素材感が楽しめるところもいいですね。

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CORDUROY KERSEY FIELDMAN COVERALL ¥46,000 KNOLL SUPER SOFT TWEED CREWNECK ODD VEST ¥33,000 HEAVY WAFFLE TURTLE NECK ¥18,000 XINJANG COTTON CHINO MICRO PEACHSKIN RELAX TAPERED CHINO ¥23,000 HORWEEN CROME EXCELL SERVICE SHOES ¥62,000

二村:このジャケットはすごく面白いなと思いました。コーデュロイを使っていて、背中までぐるっと大きなポケットがついている。実用的な、仕事や作業にも使えるジャケット。今季のテーマを象徴的にあらわしていますね。色合いはワークテイストでほっこりした人物像を彷彿とさせますが、洋服の作り自体はMARKAWAREが得意とするテーラードの作法にのっとっています。そこで、着せ方としては少しクラシックにしたいという思いがあり、中にはベストをあわせました。パンツもボタンの色に似た色を拾ってベージュにしましたが、グリーンでも似合うと思います。

ー コーデュロイの生地をバイアス使いしているんですよね。

二村:細畝のコーディネートですね。パッと見はベーシックに見えるけれど、実は生地で文字通りヒネリを効かせている。こういう人、オシャレだなと思います。

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A2 HORSEHIDE FLYINGMAN JACKET ¥140,000 SUPER LIGHT CORDUROY RAGLAN POLO COLLAR SHIRTS ¥21,000 CORDUROY KERSEY COMFORT TAPERED CHINO ¥23,000 HORWEEN CROME EXCELL SERVICE SHOES ¥62,000

二村:これはG-1ですよね?

石川:G-1とA-2をミックスしたミリタリーの革ジャンですね。

二村:こういう軍モノのアイテムやデニムなど、MARKAWAREの定番として毎シーズンアレンジされているものってありますよね。シーズンごとのテーマがさほど投射されているわけではなくて、でもそのシーズンの気分にあわせて仕上げられているモノ。ブランドの定番アイテム、持ち味というかユニフォーム的なものが、今シーズンっぽく仕上がってくるのを見るのはいつも楽しみなんですよ。

— 今シーズンらしいグリーンとも相性がいいですね。

二村:このジャケットは、冒頭からの流れであるグリーンを基調にした一連のコーディネートに、茶色を差し込んだらどうでしょう、ということで使いました。とても厚いレザーを使っているので薄手のセーターまたは薄手のシャツで着たいなと。さほど悩むことなく、スッときまったコーディネートでしたね。

ー 前回、春夏のコレクションについて解説をしていただいたときは、「昔ほど悩まなくなって、スッと決まるようになってきた」とおっしゃっていましたよね。

石川:僕らがご一緒させていただくようになってから、コーディネートにかかる時間は短くなってきているかもしれません。

二村:そういう意味ではすごく、僕自身の変化もあるかもしれませんが、MARKAWARE自体のベースというか人物像は毎回しっかりしているので組みやすいですね。うーん、でも前はもっと悩んでいたかも(笑)。

石川:洋服をたくさん見ているとわからなくなるときがありますよね。僕でもサンプルがあがってきたときに、パッと見でいいのか悪いのかわからなくなるときがあります。そういうときはスタッフに「どう思う?」と素直に聞いてしまうんですが。

二村:洋服だとみんな身近だから意見を言いやすいですよね。みんな毎日服を選び、着るわけですから。雑誌の仕事では写真やレイアウト、文章も見せていただくことがありますが、しかし写真や文章となると、けっこう専門分野的な気がして言いにくいところがありますね。

ー そこであえてお伺いしますが、岡田さんの写真、どうですか? すごくナチュラルでいいですよね。

二村:僕はだいたいカメラマンのブックというのは参考程度にとどめておいて、実際にどういう仕事をお願いするかは本人がどういう人物かで判断することが多いんですが、岡田さんは彼自身のスタイルがナチュラルであるというところがあって、自然体の中で何をするかというのが彼の良さが出る部分だと思うんですよね。洋服の色や素材、天然の光を使った綺麗な写真を撮ることができて、彼は適任だと思います。

 

<1回目ここまで。2回目に続きます>

Photo(model) : Jun Okada
Composition & Text : Tsuzumi Aoyama