MARKAWAREでは、2014年春夏コレクションから新しい試みとして「トレーサビリティ」の概念を導入しています。しばしば、食品や農作物では生産地や農家の名前が商品と併記されることが珍しくありませんよね。食品の例で言えば、生産から加工、流通や販売といった過程を表記することで、モノの信頼性(カラダに害のない食べ物です、丁寧に作られているものですという部分)を明らかにしていくものです。
中目黒のショップ「PARKING」ではスペシャルティコーヒーやBean to Barチョコレートを販売しており、その際、どこの国の誰の農園で採られたコーヒー豆、またはカカオから作られています、と明示していますが、これをブランドの根幹でもある洋服に適用。綿はどこで採れた綿である、紡績はどこの工場、糸を織った機屋さん、または染色はここの工場、ということを可能なかぎり下げ札に明記しています。marka / MARKAWAREはブランド立ち上げ当初から、他ブランドに先駆けてMade In Japanを掲げてきましたが、それを一歩進めた試みです。
デザイナー石川俊介はこの試みについてこう語ります。「今回、トレーサビリティを導入するにあたっては、ものづくりをきちんとやって行くという意味で、また自分自身にしっかり制約をかけながら、こだわりを持っていくという意味があります。生産の工程は日本で一貫してやっていますよということをはっきりと証明したいという思いもあります。また、洋服を作ってくださっている工場さんにも「誇り」を持ってものづくりをしていただけるのではないかと考えています」
語りがひときわ熱を帯びたのは最後の「工場さんに「誇り」を持って……」という部分でした。不況のあおりをうけて閉業に追い込まれる工場も多い中、丁寧にこだわりを持って物づくりをしている日本の工場、そこで働く高い技術を持った職人さんたちにも注目して欲しい、そんな思いもデザイナーの胸のなかにはあるようです。
Photo & Text : Tsuzumi Aoyama