デザイナーの石川俊介です。ヨセミテへの視察記、第2回です。
次のシーズンの洋服を考えるにあたり、自分のなかから沸き起こるものだけでは限界があるということや、単にトレンドに近いカルチャーを流用するだけの行為には違和感を感じるということから、お金も時間もかかってしまうことではあるのですが、どこかへ視察に行くことを自分に課しています。
今年の3月にはフランスに行きましたが、そこで思いを新たに感じたことは「人工のものは、もういいかな」という気持ちでした。人が手をかけて作った街、それは世界中を旅したとしたら一生かかっても回りきれないほどありますが、やはり東京やニューヨークといったところがダントツに面白いと思いますし。せっかく出向いて体感するのであれば、人間が作れないような規模のものにこそ魅力的な何かがあるのではないかと思うのです。
前回の記事でも書きましたが、近頃特に感じる「道具」への思いもあいまって、サンフランシスコを経由してヨセミテを訪れることにしました。
冒頭の看板はジョン・ミューア・トレイルという340キロに渡る自然道の入り口です。踏破するのには1ヶ月近くかかるそうです。今回は、短い滞在だったのでキャンプサイトにあるロッジに泊まったのですが、部屋の雰囲気が素敵でした。
椅子の背に木の枝の佇まいが残っていたり、テラスに置いてある椅子も趣味が良かったり。ちゃんとデザインするところはデザインするというあたりのサジ加減が素晴らしい。
次回は、写真を中心にヨセミテを紹介したいと思います。
Photo: Shunsuke Ishikawa
Text: Tsuzumi Aoyama