ファッション同様、コーヒーにもトレンドがあります。いま、世界のコーヒートレンドは「サードウェーブ」と呼び習わされていますが、流行に敏感な人が多い東京ですら、この言葉に馴染みのない方も多いかもしれません。

そこであらためて、PARKING COFFEE×CACAO WORKSが考えるコーヒーのサードウェーブというものについて整理してみたいと思います。

サードウェーブ。直訳すれば“第３の波”。つまりコーヒーの世界ではかつて２つの大きなムーブメントがあったということです。

１つめのムーブメントは、コーヒー豆の大量生産と強化された流通力を背景に、家庭でもドリップコーヒーを楽しむ人が爆発的に増え、コーヒーを飲む行為が生活習慣として広く一般化したことを指します。19世紀後半から1960年代頃とされています。

２つめは、スターバックスやシアトル系のコーヒーショップによる、質が高く味わい深いコーヒーを追求するという動き。生活の質をより高めたい層を中心に、エスプレッソや深煎りの苦味の効いたコーヒー、またはカフェラテが世界的なブームになりました。これが1960年代から1990年代、日本ではつい最近まで続いていました。これがセカンドウェーブ、第２の波です。

そして、近年日本でも注目を集めているサードウェーブ。優れた生産者による品質の高い豆を正しく評価しようという動きが起こります。フェアトレード認定された農家によるコーヒー豆には最低価格が定められ、大企業による買い叩きを防いでいます。さらに、コーヒーの味を評価する基準が制定されたことで、一定水準以上のクオリティであると認められた豆が「スペシャルティーコーヒー」として呼ばれるようになります。中でも最高品質と評価された一握りの豆は「カップオブエクセレンス」の称号を授かり、オークションで高値で取引されるようになりました。

また、同時期にアメリカの西海岸を中心に、小規模なコーヒーショップ、そしてロースターが登場します。フェアトレードや、産地との直接の取引により高品質な豆にこだわり、豆の個性にあわせたロースト（煎り）を自ら行いました。一般的にコーヒー豆は煎りが深ければ苦味が強調され、煎りが浅ければ酸味が強調されます。彼らロースター達は、豆の個性を損なうほどの深煎りを避け、必要充分なローストに留めることを良しとしたため、必然的に浅煎りで仕上げることがひとつのトレンドとなりました。

その味わいはスッキリとした酸味で、フルーティーと表現されるものです。重視したのはコーヒー豆本来の旨味をしっかりと抽出すること。そこでエアロプレスという新しい抽出方法が脚光を浴びたこともサードウェーブを構成する要素のひとつです。

サードウェーブと一言でくくってしまえば、それは一過性のトレンドのようにも見えるかもしれません。スペシャルティーコーヒー、またカップオブエクセレンスなど駆け足で紹介してきましたが、コーヒーには本来もっと深く語っていくことができる背景や面白みがあります。さらに、こうした文化を踏まえつつ実際に自分で味わって楽しむことができるところが、コーヒーの面白さ。それは単なるトレンドではなく、私たちの生活に寄り添い、生活に彩りを与えてくれるものです。

PARKING COFFEE × CACAO WORKSではスペシャルティーコーヒーの豆の販売や、最適な抽出方法によるコーヒーの提供をしながら、みなさんとコーヒーカルチャーを楽しんでいくことを目指しています。