先日、中目黒の「PARKING」にてカカオのテイスティングワークショップが開催されました。
講師はTBS系「情熱大陸」でも紹介された、“カカオハンター”小方真弓さん。「PARKING」で取り扱うシングルオリジンチョコレートはカカオ豆からタブレットにするまでの作業を一貫して行う、Bean to Barというスタイルですが、このチョコレート作りではカカオ豆の品質がチョコレートの風味に直結するため優良なカカオ豆の確保が必要不可欠。「PARKING」では小方さんの協力によりそれらを入手しています。
その小方さんを講師に招いて開催するワークショップは、平日の18:00と19:00という時間からの開催だったにも関わらず、どちらも予約で満員。「最先端のチョコレート」を知りたいという熱意があふれるひとときとなりました。
コロンビアに移り住み、カカオの輸出、製造に携わりながら、数少ない日本への帰国時にはセミナーを精力的に開催している小方さん。コーヒーベルトよりもわずかに狭く、赤道から南北20度程度の範囲であるカカオベルト呼ばれる産地分布の解説に始まり、世界で50ヶ国以上にわたるカカオ産出国をひとつひとつ参加者にあげてもらいながら会場を巻き込んでいきます。
そして、チョコレートの一般的な作り方、シングルオリジンによるBean to Barでの作り方の違いというマニアックな部分に至るまで、明確に解説しながら味わいや香りのヒントを細かく説明。テイスティングタイムに入ります。
テイスティングでは、参加者全員にチョコレートを配布。すでに配られているテイスティングシートとともに、小方さんからどのようにチョコレートの味をチェックしていくか、その方法が説明されました。
・まず表面の色をチェック。
・口に少し含み、舐めるように舌で転がし、鼻から息を抜く。
・味わいとアロマを一緒に感じる。
・舌を動かし、鼻腔の奥に残っている香りをチェック。
〈ウィリーズ カカオ〉の「ペルービアンゴールド 70%」、そして〈ル・ショコラ・アランデュカス・マニュファクチュール・ア・パリ〉の「ペルー 75%」と、一種類をテイスティングするごとに水を口に含み、香りと味をリセットしながらチェックしていきます。
そして、ラストは参加者全員にひと瓶ずつ配布された〈PARKING〉の「アルワコ」。瓶のフタを開けた瞬間、駆け抜けるような香りの高さに「すごい香り!」と思わず声があがります。
前者2種類のチョコレートの作り方と、〈PARKING〉の製法の違いは、カカオ豆をいかに細かくすりつぶしているかによるもの。前者はカカオを細かくすりつぶし、滑らかな口当たりになるように作っているのに対し、〈PARKING〉はカカオ豆の食感を残して粗めに粉砕しています。実は、カカオの「酸」は滑らかにするほど失われてしまうので、〈PARKING〉のチョコレートはカカオのフルーティーな酸味を存分に味わうことができるというわけです。
同じ品種であるカカオをもとにしたチョコレートが、産地、製法によりまったく違う特徴を持っていることを「体験」したことで参加者同士の会話が弾むなか、小方さんからの最後の挨拶でワークショップは終了となりました。
「ひとかけらのチョコレートから、産地に想いを馳せることができるのがチョコレートの面白さです。ぜひ今後も素敵なチョコレートライフをお楽しみください」
Photo & Text : Tsuzumi Aoyama