カカオ豆から手掛けるチョコレート作りのスタイルをビーントゥバー(Bean to Bar)と表現します。まだまだ一般に浸透した言葉とは言えませんが、その主役であるカカオ豆についてのお話です。
現在PARKING COFFEE × CACAO WORKSのチョコレートは南米、コロンビア産のカカオ豆を使用しています。その中でも貴重なアルワコ族のカカオを紹介します。
コロンビア北部、シエラネバダ山脈に住むアルワコ族(ARHUACOS,indigena)には伝統的にカカオ栽培の文化があります。手作りの伝統衣装をまとい、ロバで山々を行き来する素朴な暮らしぶりの彼らにとって、カカオは大切な換金作物です。しかし、現代的な工場生産には向かない過酷な立地条件もあり、カカオ栽培は衰退の傾向にありました。
アルワコ族のカカオ豆は、カカオハンターとして活躍されている小方真弓さんによって届けられています。小方さんはコロンビアを拠点として生産者に混じり、カカオ豆の品質向上に取り組んでいる方。稀少種や未知のカカオの開拓は、小方さんの活動の成果です。
これまでにアルワコ族のカカオは、12年の夏と13年の冬の2回とどきました。
両方に共通していたのは、甘いオレンジを想わせる余韻です。12年夏クロップには若く、元気のよい白ワインのような酸がありました。いまだに衝撃的で、忘れがたい味わいです。13年冬クロップにはカシューナッツなど比較的さっぱり系のナッツの、まろやかな口当たりがあります。ゆたかな、それでいて食べ易い味わいの優等生です。
農産物の産地を特定する表現として、シングルオリジン(単一生産国)・シングルエステート(単一農園)があります。アルワコ族のカカオで作るチョコレートは、CACAO WORKSが製造するものだけです。ぜひ、世界で唯ひとつの貴重なチョコレートを体験してください。
Text : Masato Asahi