(上写真《F1 ピットストップⅣ》2007年 186.8×506.5×6.2cm)
写真に詳しくなくても、写真を語る語彙を持ち合わせていなくても。その写真は、ただひたすら圧倒的。
ドイツの現代写真家、アンドレアス・グルスキーの日本ではじめての展覧会が7月3日から東京・国立新美術館で開催されています。
2011年にクリスティーズのオークションで彼の作品《Rhine II》が史上最高額の写真として落札されたこと。マドンナやエルトン・ジョン、元F1ドライバーのミハエル・シューマッハなどのセレブリティがこぞって彼の作品をコレクションしていることなどでも知られるグルスキー。
日本の《東京証券取引所》(1990年)や、《カミオカンデ》(2007年)、《99セント》(1999年)、《ライン川 Ⅱ》(1999年)、《F1ピットストップⅣ》(2007年)そして《ピョンヤンⅠ》(2007年)という代表作から、近年の最新作まで約65点。グルスキー氏本人が「2013年の私がいまの自分をどう捉えているか、みていただけると思います」と語るとおり、グルスキーの世界観を表現する展覧会になっています。高さ3メートルを越す大きな作品から、小窓を覗き込むような小さい作品までさまざまな写真が並ぶ展示室(本人のキュレーションによる)もまた、グルスキーの作品のひとつ。
MARKAWAREデザイナーの石川俊介も「写真というのはひとつの主題に絞り込むのが一般的ですが、グルスキーの写真を見ると一枚の写真のなかに多くの主題、つまりフォーカスされる対象があるように感じます。《F1ピットストップⅣ》や《99セント》のような写真が特徴的ですが、本来これだけ多くのものにフォーカスした場合、全体が混乱してしまうと思います。しかしグルスキーはそこに水平と垂直の要素を取り入れることで整理してしまいます。絵画的とも言えるでしょうね、実に見事だと思います。水平、垂直だけでなく近年の「バンコク」シリーズ(2011年)では乱れた川面の歪んだ線を入れ込んでおり、さらに新しい地平を開いていっているように感じるところも面白い。これは実際に写真の前に立ち、どう見えるのか体験してみるべきですね」とコメント。
東京展は9月16日(月・祝)(毎週火曜日は休館)の会期で現在開催中。のち2014年2月1日(土)からは大阪の国立国際美術館へも巡回予定。
《カミオカンデ》2007年 228.2×367.2×6.2cm
《ピョンヤン Ⅰ》2007年 307×215.5×6.2cm
すべて、© ANDREAS GURSKY / JASPAR, 2013
Courtesy SPRÜTH MAGERS BERLIN LONDON
<展覧会概要>
アンドレアス・グルスキー展 ANDREAS GURSKY
[東京展]
会期:2013年7月3日(水)→9月16日(月・祝)毎週火曜日休館
開館時間:10:00-18:00 金曜日は20:00まで(入場は閉館の30分前まで)
会場:国立新美術館 企画展示室1E
展覧会ホームページ http:/gursky.jp
観覧料:一般1500円、大学生1200円、高校生800円
主催:国立新美術館、読売新聞社、TBS、TOKYO FM
後援:ドイツ連邦共和国大使館、東京ドイツ文化センター、InterFM
問い合わせ先:03-5777-8600(ハローダイヤル)
Text : Tsuzumi Aoyama