2014.09.10
15年春夏コートサンプル到着
久しぶりに感動しました。サンプルが上がって来て感動するのはどれくらいぶりか分かりません。洋服作りを初めてかなり時間が経って来たので、「こういう素材で、この工場で縫うとこうなる」というのが大凡想像できて、感動するっていうことが少なくなってきていました。
しかし、今回工場から届いたコートは想像以上でした。物作りをもう一度ちゃんと見つめ直したいと思い、15年春夏展コレクションに向けて工場背景を全て見直したのですが、その中でどうしても新しい取引先が必要だったのがコート工場でした。徐々に減っていく縫製工場の中でも、メンズのコート工場は少なくなってしまっています。上手い工場で有れば何でも縫えるだろうと思うかもしれませんが、特に本当のメンズアイテムは専業工場で縫わないと、本物にはなり得ません。設備や縫製の中間工程などはそれぞれのアイテムにより異なる高度な技術が必要になります。
しかし無いものは仕方ないのでブルゾンやジャケットを縫う工場でコートも縫うことが殆どです、でもそれでは望むような仕上がりにはなりません。
ずっとフラストレーションがたまっていたので、今年の前半に数少ない「メンズ」コート工場に伺ってきました。この工場さんは大手アパレルの商品を縫う工場で、これまで我々のような小規模な所謂ドメスティックブランドのコートは縫ったことが無いとのことでした。無理を承知でお願いしたところ、「ほぼ年間の仕事は埋まっているけど、その合間でやってみましょうか」と、電話では厳しそうに感じた社長さんから快い返事を頂けました。それから数ヶ月の間パターンの作り込み、生地・附属の手配などをやりながら、工場さんとの打合せを重ねてきました。
そして、本日待ちに待ったファーストサンプルが手元に届きました。
端正な衿に美しいステッチ、そしてなにより堅い表地を使用しているのにどことなく柔らかく丸みのある洋服に仕上がっています。普通に縫ってしまったら、もっと平面的で堅い印象になってしまうはずが、なんだか柔らかい。こうなるためには、素材に合わせた縫製テクニックや芯地、縫い代の処理など高い技術が必要です。
詳しいことは、10月に開催する展示会でお伝えしますので、このコートを見るためにも是非遊びにいらして下さい。
そして、こんな素晴らし工場さんも運営していくのは大変とのことです。我々が少しでも良い単価でより多く発注して、少しでも支えて行ければと思っています!是非皆様の応援(購入)お願いします!!
Text & Photo : Shunsuke Ishikawa