2014.08.25
日本で物を作る理由の一つ
来期に向けた別注附属(釦やファスナーなど服地以外の材料のこと)が上がってきました。
この写真に写っているのは米軍M-65に使用するファスナー、ドローコードなど。ファッションという文脈の中で考えれば、これらの附属類を普通に手に入る物に置き換えても理由付けが出来て、もう少し簡単に洋服を作ることができます。そうすれば安く作ることができるので、1着の洋服を作るための労力・コストを大幅に削減できます。
しかし、どうしてもここにこだわりたいのです。綿の帯にアルミの務歯(ムシ:ファスナーの帯に付いた無数の金属パーツ)、そして実物の軍物に限りなく近いスライダー。このスライダーには亜鉛メッキをかけて、実物との違いは商標刻印の有り無しだけです。これらが付いていることで、物としての満足感が別次元に行く気がしてます。
日本で物作りをしていく大きな理由の一つはここにあります。整った日本の物作り体制の元では徹底的に拘ったものを作ることができます。多くの工場さんと先輩メーカーさん達の作り上げた、世界でもここにしかない物作りの土壌があって、僕らのような少量生産のメーカーの仕事にもしっかりと応えてくれます。その結果として上記の附属類が出来上がって、いい服地が出来上がって、いい洋服が出来上がる。
ものづくりへの拘りをいろいろと言う方もいるのは分かっていますが、数万人に一人でもいいのでこういうことが響いていって、日本の洋服作りの面白さ、すごさが伝わっていけば嬉しいです。で、単なる自己満足で終わらずに、こういう洋服が売れてくれると、なお嬉しいです….
Text & Photo : Shunsuke Ishikawa