2013.11.27
東京モーターショー2013
遅れ馳せながら本日ようやく東京モーターショー2013に行ってきました。。2時間ちょっとと非常に短い時間で駆け足で見て回りました。つい先日まで近未来(現代?)の車に全く興味が無かったのですが、OUTLANDERの試乗以来モーターを使った車にも興味が沸いてきたのでそんな車と、少しマニアックな車をざっと見てきたという感じです。相当偏りがありますが個人的に興味を持った車をアップします。そして最後には今回のモーターショーで感じた大きなコトを。
まずはモーターの自動車。
間もなく発売のBMWの2車種i3&i8。デザインの完成度、車としての未来感ともに非常に高いレベルです。その分値段も高いですが….。来年の3月にはi3の試乗車も用意されるようなので楽しみです。
SUBARUのVIZIV。コンセプトモデルですが、ディーゼルプラグインハイブリッドを搭載ということで個人的に大注目の一台です。前後ともにモーターを配置して、発電と前輪の駆動を担当するディーゼルエンジンと組み合わせるという現状考え得る(高速走行は苦手かもしれませんが)最高の組合せだと思います。スバルは国内でディーゼルを発売していないのでどうなるのか?ですが本当にこの組合せで出してくれるなら、買います。ボディーは少し小さめなのでフォレスタークラスのサイズ感にこのシステムを積んでくれれば間違い無く買います。
三菱GC-PHEV。パジェロの未来形とのことですが、これもかなり欲しいと思えた車です。ほっぺたにあるライトを何とかしてくれればバックも含めてデザインは十分にいいので、OUTLANDERの失敗の轍を踏まないようにこの雰囲気で出してもらえれば。
ホンダNSXコンセプト。今回のモーターショーの目玉の一つといって間違い無い車ですね。久しぶりにホンダがスポーツに取り組むという気合いの一台。ちょっとシャープすぎる感じで個人的にはもう少しダイナミックさが欲しいと思いましたが、静かに速そうな感じは伝わってきます。S660は人が殺到しすぎて近づけませんでした…
三菱OUTLANDERアジアクロスカントリーラリー仕様
かなり好きになってしまったOUTLANDER。こうなるとさらに好きです。とくに走り込んだ跡が見える擦り傷とタイラップ(結束用のバンド)で止められたバンパーとボンピン(ボンネットを止める金属パーツ)。男の車感ばっちりです。今回見た車の中でTOP3に入る欲しい車でした。
つづいてエンジンの車。
なんといってもこれ、ジャガーFタイプクーペ。ワールドプレミアム(同時開催のLAモーターショーでも同時展示)ということです。今回の欲しい車ナンバー1です。Eタイプまでを含めて今まで一度もジャガーの車を欲しいと思ったことは無かったのですが、ここ数年の車作りには興味をそそられていました。古いフォーマットでの車作りに磨きをかけていっている感じがします。そこで登場したFタイプ。初めて見た瞬間に欲しい!!と思える車でした。ただ問題はオープンボディーだったこと。スポーツカーはクーペだと思っているので、わざわざ上を開けなくてもと思っていましたが、ちゃんと出てきました。クラシックとモダンのちょうど中間にあるかっこいいデザイン。911あたりを狙った動力性能とサイズ感。そして何よりもいいのがエンジン音。古いキャブのチューニングカーを思わせるような音がするV8エンジンは、その音のために欲しいと思わせる魅力があります。あー欲しい。でも買える訳がない。
マニアックなところではオーストリアKTMのX-BOW(クロスボウ)。
バイクメーカーが作る純粋なスポーツカー。初めて実車を見ました。ヨーロッパではケータハムの7をはじめ、小さなメーカーが作るこの手のフォーミュラーと乗用車の中間のような走りを求めるための車がいくつもあってうらやましいです。ただどれも600万円以上のプライスがついているので、YAMAHAやKAWASAKIあたりが2〜300万位でやってくれると楽しいのに。
その他前評判で聞いていた車ではNISSANのIDx。しかし過去の車をモダンにするという手法自体がお腹いっぱいです。これが日産の副社長が86やBRZをさして「あれはミッドライフクライシス(中年の危機)を迎えた50代の人のためにデザインされたクルマです。我々はそんなものは作りません。」と話したという車のようですが…。写真は取り忘れました。
ざーっと駆け足で見てきた今回のモーターショー、新しい技術の未来の車を見て相当わくわくできると思っていったのですが、会場を出るときには全く逆でした。
その理由一つ目は、
ヨーロッパメーカーは多くのスポーツカーと呼べる車を持ち込んでいるのに対して、日本のメーカーはほとんどスポーツカーを出していない状況が不満でした。スバルもWRXのワールドプレミアをアメリカのLAモーターショーに持って行って、日本ではLEBORGの発表。本当の車好きが「古い車やヨーロッパ車に乗らなくてもいいや」と思えるような新しい技術と圧倒的な動力性能をもった車をそろそろ出してくれても良さそうですが、なかなか無い。唯一がんばっていたのがHONDAだけという印象でした。売れる車はSUVや軽自動車というのは分かるのですが、エコ技術や電気技術の追求もそろそろ新しい次元に入ってもいいような気がします。
そして二つ目の理由によってかなり憂鬱にさせられました。それはかなり小さなブースに展示してありました。メーカー名はテスラモーターズ。シリコンバレーの自動車メーカー。EV車だけを作っているメーカーです。エンジェルやベンチャーキャピタルからの資金で設立されたある意味非常に現代的なメーカーですが、このテスラモータースのブースで衝撃を受けました。それがこの写真にある展示です。ここの車すごいハイテクなイメージが合ったのですが、車を動かすという意味ではここに写っているパーツが全てとのことです。これだけです。なんだか素人にも作れそう。つまり日本が先頭を切ってすすめている技術の進む先は誰でも車を作れる土壌を作っているだけという気がします。
どういうことかというと、たとえばテレビ。今海外旅行に行って、ホテルでも家庭でも日本製のテレビを見かけることが殆どなくなりました。ほぼ韓国メーカーのもの。最近はその他の国のものも多くなっていると聞きます。ブラウン管の時代には技術力のいるチューニングを一台一台に施さないと行けなかったため日本メーカーが強かった。しかしテレビの主役が液晶になってしまって、これはどこの国でもアッセンブリー可能で安い商品が市場に溢れた。さらに先日お店に来たカメラ店で働いているというお客さんと話をしていた時に「どこに行っても今でもカメラは日本メーカーのものばかりですよね」ということを伝えたら、そのお客さんから「いや、今はミラーレス一眼が多くなって、難しい光学的な技術が不要になったので、韓国メーカーがかなり追い上げてきていますよ」という話をされました。つまりエンジンやそれを動力として路面に伝える複雑な機構、これが無くなれば日本の優位性は著しく低くなる。もちろんそれ以外の安全性や快適性など日本の自動車メーカーが培ってきた高い技術があることは分かります。しかし、そこそこの性能のそこそこの車はどこの国でも作れるようになるのは間違いなさそうです。もう日本車が従来と違うポジションでの車作りで生き残っていかないといけない時代がそこまで迫っているように感じました。そういった目で今回のショーを振り返ると、何か新しい価値を打ちだしているのではなく、今の市場を見た今の車作りしか無く結局そこに未来の車作りがあるとは思えませんでした。何が未来かは分かりませんがもっと新しいチャレンジこそ今好調な日本の自動車メーカーに必要ではないでしょうか。たとえば最近のマーケティングでさんざん行っている、車をライフスタイルに合わせるという方向で行くのであれば、自動車メーカが音頭をとって住宅メーカーや家電メーカー、そしてもちろんファッション!も含めた様々なメーカーと協働で研究開発してこれからの時代のライフスタイルをモーターショーのブース内で見せてくれるとか。これからの生活には自動車が不可欠でそこには日本の自動車が必要ですという何か。日本の技術力が新しい未来を作っている姿を見せてくれても良さそうです。我々も草の根レベルでちょっとしっかり考える必要がありそうですね。僕らの生活も自動車産業に支えてもらっていると思っているので、政治に対する批判と同じように少し語らせてもらいました。
Text & Photo : Shunsuke Ishikawa