マンハッタンの南側を中心に進んで行ったニューヨークのトレンドスポットの流れは、ここ数年で橋を渡った向こう側ブルックリンへと移っています。ここ数回のニューヨーク旅行でもブルックリン特にウィリアムスバーグ周辺に行くようにしているのですが、今回は初めて宿泊してみました。というのも、僕らが行く半年前にWYTHE HOTELという話題のホテルがオープンしていたのです。これは是非泊まってみないと。
元々テキスタイル工場であった建物を改装したWythe Hotelはトレンド地帯の端に位置する煉瓦造りの美しい建物で、今のブルックリンを堪能するには最高のホテルでした。客室もしっかりとデザインされ、サンフランシスコ・ポートランドと西海岸で見てきた今のアメリカの流れを踏襲するスタイルで、おまけに窓からの眺めは2010年代の都市であることを忘れさせてくれます。
ただ、残念だったのはまだ新しいホテルのためオペレーションに少々難ありで、カードキーは毎回開かなくなる、チェックインに非常に時間が掛かる、一緒に行った他の人のカードに宿泊料金がチャージされているなどと問題が多発でした。それともう一つ。あまりにもトレンドスポット過ぎて、夜には6階?にあるバーにどんどんと人が押し寄せ音楽も大音量で流れているためその騒音が客室にも届きます。旅先で寝付きが悪い僕には耐え難い音量でした。
マンハッタンに住む友人やブルックリンのお店の人達に「どこ見に行ったらいい?」と聞くと必ず返ってくるのが「MAST BROTHERSは見ておいた方がいいよ」という答え。最近ではニューヨーク土産でここのチョコレートバーをもらったという人も多いかもしれませんが、今や世界的トレンドとなりつつあるBean to Barチョコレートの先駆けです。コーヒーにおけるサードウェーブの流れが今チョコレートの世界に飛び火しています。(このあたりの詳しい話はまた別の機会にお伝えします。)
この店はhOMEというニューヨーク周辺にある話題の店をデザインしている事務所が設計しており、古い建物を利用したシンプルながら凝った内装です。店舗の奥では女性に混じってひげ面の男性がチョコレートのパッケージングを行っており、タトゥーは確認出来ませんでしたがコーヒーショップと同じ流れを感じます。もともと化学をやっていた兄弟がチョコレート作りをニューヨークではじめたというのも今のアメリカらしいですね。自ら手を動かしてものを作りだし、おしゃれなパッケージングを施して、自ら売る。そんな感じが時代の空気なのだと、この店でも感じました。
その後夕方のブルックリンの街をぶらぶらと散策。1950年代以前の面影を強く残す街の雰囲気を上手く利用した店が多数あります。
コーヒーは大型店舗のTOBBY’S ESTATEへ。真新しいPROBATの焙煎機をおいて、奥にはエスプレッソラボという研究室をもったコーヒーショップです。ここではペーパードリップを注文。
ディナーはWythe Hotelのオーナーの一人?のMARLOW&SONSのDINNERへ。ここはその日のメニューを説明しながら紙のテーブルクロスの上に手書きしていきます。
今回のブルックリンは次の訪問先に向かう前の限られた時間しか無かったので駆け足で散策しました。
これでニューヨークともお別れし、旅の最終目的地ボストンへ向かいます。
Photo&Text : Shunsuke Ishikawa