PARKING COFFEE x CACAO WORKSのグランドオープンとPARKINGのリニューアルオープンが終わったその足で夜の関越道を一人、群馬県嬬恋村まで向かいました。
PARKINGの第三拠点となるPARKING ASAMA BLANCH(仮称)の準備を進めています。ここを拠点にD.I.Y.やカントリーライフ、アウトドアアクティビティ、モータースポーツなどを楽しみながら、今の時代の楽しく豊かな暮らしを模索し、そしてそのシーンの中で必要となる洋服とはどんなものかをじっくり考えていきます。
二年くらい前から構想を練りはじめ、その後紆余曲折を経て場所を選定し、ようやく昨年の12月物件の契約にいたりました。
周りの方には一年以上前からすこしづつ話をしていたのですが、ようやく形になりました!
今回バタバタのスケジュールの中で行ってきたのには理由があって、それは「外壁の色を決める」という些細ながら重要な目的のためでした。洋服作りでもそうですが、色を決めるというのが非常に難しい。無数にある中から本当にこれだ!という色を選び出す作業は今でも頭痛の種です。PANTONEのコットンプランナーには2000以上の色がありますが、「このグリーンよりも、もう少し黄色みが強くて彩度が低いもの」など理想を追求していると思い描く色を見つけるだけでも至難のワザ……。さらに洋服の場合には色を再現してくれるのは染工場の仕事で、そこでまた色が変わってしまいます。素材によっても色の再現性が異なり、色を合わせていくためには、何度もビーカーと呼ばれる染めテストを行う必要があります。それでもなかなか思い描く色にはなりません。
話を戻します。今回は物件の外壁の色なので、ペンキの色決めをしなければなりません。当初は近隣の塗装屋さんにお願いしようと思っていたのですが、貸してもらえた見本帳が上の写真。全部で632色。これではとても希望の色はありません……。おまけにどこか日本らしい色合い。希望色のサンプルを渡せば調色してもらえるのですがちゃんと色が合うかは分からない。仕方なく他のペンキを探しました。
で、こちら。アメリカのBENJAMIN MOOREです。色数ざっと3000色以上。色もなんだかアメリカっぽい。カラースワッチ自体が少しマットなエッグシェルでそそられます。このペンキ屋さんは青山にショールームがあるのでサンプルを見に行ける上に、数枚までならカラースワッチをもらえます。値段は国内のものに比べるとかなり高いですが、一度気に入ってしまったらもう他のものは使えません。さっそくショールームに行ってきました。そこで入手してきた2冊の見本帳からPARKINGのテーマカラーであるグレーを選びます。グレー系統の色だけでも100色以上。また悩んでしまいます。そこから十数色に絞り……、スワッチをいろいろなところに当て込んでみて数色に絞り……、なんとか一色に絞り込みました。
選んだ色は「Whale Gray」。他に「Wolf Gray」や「Subway Tile」など魅力的な名前のいい色もあったのですが、鯨色に決めました。ほんの少しイエロー掛かったミディアムグレーです。ペンキの種類はMETAL&WOODという外壁にも使えるプライマー(下地材)不要のものです。
この色を外壁の目立たないところに塗ってみます。まずは養生をしっかりして。
さあ塗り始めようとペンキを容器に移したのですが、この時期にはいろんな種類のたくさんの虫がいます。人間が少ない場所柄から、物珍しくて寄ってくるのか、肌を露出している顔めがけてアタックをかけてきます。その中にはスズメバチなども混じっており、作業中断を余儀なくされました。スズメバチほど恐ろしい昆虫ではなくても、小さな蠅のような黒い虫が眼に入ってこようとするので何か眼を守る物がなければ作業ができません。
で、こんな保護メガネを使用。テーマはフルクサスの女性アーティスト。
ようやくハケを使って塗り始めます。かなりいい色です。思っていたより少し赤味がある気がしますが、ほぼイメージに近い色です。
塗り始めてしまえば、その後は早いです。楽しくて、買ったばかりのジーンズにペンキが垂れていることにも気づかず作業を進めます。
こんな感じで今回のテスト塗装は終了です。。容器に移したペンキが無くなるところまで塗りました。色も乾燥してくるとよりいい感じに。写真では少し光沢が強いように見えますが、実際は3分艶のほどよいマット感。汚れも付きにくいようです。
これで色が決まったので必要な量のペンキを発注して、梅雨が来る前にグレーに塗りつぶします。
その後は内装の工事がいろいろと待っています。壁の塗り替え、漆喰を使った左官、フローリングの張り替え、キッチンの作り替えなどなど。少しずつ時間をかけて進めて行きます。あと、薪小屋も作らなければ!
D.I.Y. 楽しい!!
Photo : Shunsuke Ishikawa
Text : Shunsuke Ishikawa